テミス通信第58号掲載しました
こんにちは、司法書士佐井惠子です。
成年後見人の権限を証明する書類には、登記事項証明書があります。
後見人・保佐人・補助人の登記事項証明書には、それぞれ、読み方があります。
中でも、保佐人の登記事項証明は、誤解しやすいので気を付けて下さい。
後見人については、こちらをご覧下さい。
(http://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/static/shoumei_01.pdf)
後見開始の審判の情報の外に、大きくは、
1.成年被後見人の情報として、住所氏名、生年月日に本籍。
2.成年後見人の情報として、住所氏名、裁判の確定日に登記年月日。
成年後見人が複数名いて、権限の分掌あるいは
共同行使の定めがある場合は、権限行使の定めの目録が付きます。
3.成年後見監督人がいる場合には、住所氏名、裁判の確定日に登記年月日
保佐人については、こちらをご覧下さい。
(http://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/static/shoumei_02.pdf)
基本的に、後見人の登記事項証明と同じですが、
大きく異なることは、
保佐人の同意権を民法13条1項で定められた事項以外に与えている場合(同意権の拡張)には、
同意行為目録を付しているところです。
間違いやすいのは、同意行為目録が付されていない場合です。
目録が付されていなくても、同意権の文字が証明書になくても、
民法13条1項で定められた事項は、同意がなければ取り消されます。
ところが、保佐の制度を知らないで登記事項証明を見た方からすれば、
同意権など、どこにも書いていないではないか・・・と、なってしまいます。
登記事項証明は、成年後見制度について知識の有無に関わらず、
取引の安全のために利用するものです。
もう少し、親切でもよさそうですが、どうでしょうか。
また、保佐人には、法律では当然に代理権はありませんが、
特別に、代理権を付与することもできます。
その場合には、代理権目録を付しています。
代理権目録がなければ、その保佐人には代理権が付与されていないと分かります。
補助人については、こちらをご覧下さい。
(http://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/static/shoumei_03.pdf)
基本的に、保佐人の登記事項証明と同じですが、
同意権を与えられている場合には、同意権目録が付されています。
この同意権は、民法13条1項で定められた事項の一部について与えられます。
保佐人と違うのは、同意権目録が付されていなければ、
同意権が付与されていないことを意味することです。
また、代理権を付与した場合は、代理権目録を付しています。
代理権目録がなければ、その保佐人には代理権が付与されていないと分かります。
書いてなくても、それは法律上当然のことだから・・・。
法律の世界では、そんなことがよくあります。
ご注意下さい。
笑顔の和が広がりますように
司法書士佐井惠子
http://sai-shihou.jp
☎06-6365-1755