任意後見契約の特色と、代理権の範囲 ☆vol.11⑨☆
こんにちは、司法書士佐井惠子です。
一例ですが、不動産賃貸業を営むAさんが、任意後見契約を締結するとき、
賃貸業は、専門の知識がないと心配とBさんに、
その他の身の回りの事務は、親族のCさんに頼みたい。
そう思ったとき、複数の任意後見人と契約することができます。
複数人と任意後見契約を締結するとき、どんなことに注意しないといけないでしょうか。
複数の任意後見人といっても、3つ類型があります。
1.「権限の共同行使の定め」があるとき。
それぞれが、一緒に代理することになり、
後見人の恣意的な行為を防ぐことができ、より安心と言えますが、
任意後見受任者の1人について欠格事由その他不適任の事由があるときは、
他の一名については問題がなくても、
契約全体について効力が生じない事態になります。
これは、避けた方が良いと思います。
2.それぞれが単独で代理権を行使できる場合。
複数の任意後見人に、「全ての事務」を委託することも可能です。
それぞれが単独で代理できます。
片方が不適任となっても、もう片方の契約の効力に影響を及ぼしません。
3.「権限の分掌の定め」ある場合
定められた事務の内容ごとに、単独で代理できます。
最初の、不動産賃貸業を営むAさんには、これがお薦めです。
万一、片方が不適任となっても、もう片方の契約の効力に影響を及ぼしません。
2.3.とも、各人毎に契約書を作成することも、一通の契約書で作成することもあります。
例え、一通で作成しても、契約は別個に独立したものです。
任意後見人は、家庭裁判所の選任した任意後見監督人の監督の下に置かれます。
任意後見人が勝手なことをしては困るので、後見人同士が牽制し合うようにとは、
考えなくても良いのではないかと思います。
それでも複数人と希望されるのであれば、単独で全てを代理できる後見人を複数か、
代理権の範囲で分けて、複数人と契約することを考えてみてはいかがでしょうか。
笑顔の和が広がりますように
司法書士佐井惠子
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