任意後見人が不適任だと契約は発効しない ☆成年後見vol.4⑳☆
こんにちは、司法書士佐井惠子です。
任意後見契約は、委任契約の一種です。
どういったことを、委任できるのでしょうか。
契約の特色とともに、お話しします。
任意後見契約とは、委任者が、受任者に対し、
精神上の障害により判断能力が不十分な状況における自己の生活、療養看護
および財産の管理に関する事務の全部または一部を委託し、
その委託に関する事務について代理権を付与する委任契約で、
任意後見監督人が選任された時点からその効力を生ずる旨の定めのあるものです。
この契約は、締結と同時に効力が発生するのではなく、
任意後見監督人が選任された時からその効力を生ずるのが特色です。
ちなみに任意後見監督人は、家庭裁判所で選任されます。
法定後見人選任申立時と違い、任意後見監督人の候補者を申立人が推薦しても、
基本的には、関係のない専門職の第三者が選任されます。
任意後見契約に、任意後見監督人を指定している場合は別と聞きますが、
個別の案件ごとの判断となるのではないでしょうか。
実際のところは、経験がないので分かりません。
さて、その委任の内容と範囲ですが、
「判断能力が不十分な状況における自己の生活、療養看護および
財産の管理に関する事務の全部または一部」とは、
生活、療養看護でいえば、「介護契約・施設入所契約・医療契約」など
財産の管理でいえば、「預貯金の管理、払戻し、不動産その他の
重要な財産の処分、遺産分割、賃貸借契約の締結、解除等」です。
事実行為は含まれませんし、婚姻・離婚・遺言などの一身専属的行為は含まれませんし、
お葬式や納骨といった、死後の事務は含みません。
医療契約は含まれますが、医療行為の同意は含みません。
契約の方式についても特色があります。
任意後見契約は、公正証書による契約に限っています。
契約の当事者は、保護する者、保護される者といった立場となり、
初めから、対等な関係ではないという認識に立っています。
任意後見契約は、登記をして、以後、登記事項証明書が委任状の代わりとなります。
登記は、委任の内容を、代理権目録に作成していきます。
作成上の注意点としては、それが登記できるかどうか。
そして、登記できたとしても、実際に使えるのかどうかを確認しておくことがポイントです。
いざというときになって、この代理権の内容では代理できないとなっては、
手遅れです。
代理権目録作成が、司法書士の腕の見せ所。
後見人としての経験が役に立つところです。
笑顔の和が広がりますように
司法書士佐井惠子
http://sai-shihou.jp
☎06-6365-1755