経営者と任意後見契約 遠くて近い理由とは ~☆成年後見 vol.7⑪☆
こんにちは、司法書士佐井惠子です。
2014年1月25日(土)に、大阪司法書士会で会員研修の一コマを受け持ちました。
テーマは、任意後見の実務。
近畿一円から司法書士が140人ほど集まったとのことでした。
平成24年 任意後見契約の締結があったのは、9,091件。
任意後見人として活動開始となったのは、566件
法定後見人が選任されたのが、30,302件ですので、やはりまだまだ普及していません。
数字は、何れも、法務省統計から取り出しています。
司法書士の中でも、任意後見人となっている会員は、法定後見と違い、
随分と少ないためか、関心が高かったようです。
さて、この任意後見契約ですが、任意後見契約に関する法律が平成11年12月8日公布され、
平成12年4月1日に施行されました。
以前より、委任契約に基づく任意代理人の代理権は、
本人の意思能力喪失後も存続すると通説は解しています。
従って、自己の判断能力低下後の事務を、
任意代理人に予め委託する委任契約を締結することはできていました。
ところが、実際に利用することは難しかったのです。
その理由は、本来、委任契約においては、代理人を本人が監督する構造をとっています。
ところが、本人の判断能力が低下してしまうと、本人による任意代理人の監督を期待できません。
任意代理人の恣意的な行動を抑制できないことに、深刻な問題がありました。
そこで、本人が自ら締結した任意代理の委任契約に対して、必要最小限の公的な関与を法律で定め、
本人の自己決定権を尊重すると同時に、判断能力が不十分になった本人を保護する制度として
「任意後見制度」が生まれました。
簡単に言えば、任意後見制度は、中身は自分で決定するが、
本人を保護するために、必要最小限の公のサポートを備えた制度です。
公のサポートとは、契約締結時であれば公証人による契約書作成。
契約発効時には、家庭裁判所による任意後見監督人の選任。
その後は、家庭裁判所による任意後見監督人を通じた間接的な監督。
中身を自分で決めることができることが、任意後見の魅力です。
老後を、「自分らしく」暮らすための必須アイテムです。
よく、遺言はなかなか決心がつかない…などと仰る方がいらっしゃいますが、
こちらは、生活設計(ライフプラン)に関する質問に答えていけば、
皆さん、スムーズに作ることができます。
しっかりとしている、今こそ、考え時。
そんな風に思います。
笑顔の和が広がりますように
司法書士佐井惠子
http://sai-shihou.jp
☎06-6365-1755