ボロは着てても言葉は錦　☆成年後見vol.9⑲☆

こんにちは、司法書士佐井惠子です。
私が最初に任意後見契約を結んだ女性は、本当に言葉が綺麗です。
話し言葉も綺麗ですが、例えば、彼女の残すメモにまで、
「○○会社の方が、月曜日の午後1時にお越しくださる。」と、書いています。

正しくは、「ボロは着てても心は錦」なのでしょうが、
「言葉」は「心」を表すものだと思いますので、
「言葉は錦」といってもいいのではないかしらと思い、使ってみました。

最初にお断りしておきますが、彼女が、ボロを着ている訳ではありません。
もちろん、着飾ったりはしていませんが、自分で編んだセーターなど、
古くても清潔に、綺麗に着こなしています。
デイサービスでも、元保母さんらしく、馴染めない人に自分から話しかけて、
色々な方と仲良くされるので、スタッフの人達からも頼りにされている方です。

任意後見契約を結び、3か月に一度、家を訪ねたり、毎月電話をしたり、
彼女からも、毎月、ハガキを送ってもらったりして、
生活状況に変わりはないか、困っていることはないかと、一人暮らしの「見守り」をしてきました。

最近、通帳が見つからないと電話をしてみえたり、約束の日の取り違えがあったりして、
一時的な症状なのかもしれない、そうであってほしいと思い、
ついつい先延ばしにしていました。
ところが、この夏になって、つい少し前に会っていた人がわからなかったり、
表情が乏しい日があったりで、軽い認知症を疑う状況になってきています。

ヘルパーさんに家事をお願いする契約も、一人では難しいかなと思い、
今日、私も同席して、一緒に説明を聞き、無事契約ができました。
そこで、ふと見つけた「○○会社の方が、月曜日の午後1時にお越しくださる。」のメモ。
任意後見契約を発効させる時期が来た。
先延ばしにしてはいけないと確信しました。

いつも、綺麗な言葉で、感謝を伝えて下さる方。
費用はかかりますが、契約をするのもしんどくなってきたなら、
私が代わってできるように、財産も失くさないよう預かりましょうかと、話してみました。
そうして欲しい。そうしてもらえたら安心だと笑顔で答えてもらい、
早くから、知り合えて良かったとの言葉をいただきました。
最後まで、しっかりしたままで過ごしてもらいたいと思っていたのに。

明日、クーリングオフの内容証明郵便を送ります。

笑顔の輪が広がりますように。

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司法書士佐井惠子
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