いざという時に、財産管理等委任契約は使えるか ☆成年後見vol.9⑳☆
こんにちは、司法書士佐井惠子です。
後見制度支援信託は、元本補てん特約付き金銭信託ですが、ペイオフにも留意しておかなければなりませんと、
前々回の後見制度支援信託(その3)の中で、お話ししていました。
ここのところが難しいと思っていたところ、元銀行員の友人早野 健さんが分かりやすく解説してくれました。
ご本人に了解をいただいたので、いただいた文章を引用して、補完させていただきます。
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1.信託とは預金とは何か
信託・・・他人を信じて財産などの管理を託することで、
委任などと違うところは、信託する財産の名義まで、信託された人の名前に変えてしまうこと。
信託では、信託する人(財産を任せる人)を「委託者」、信託を引き受ける人を「受託者」、
そしてその信託した財産から生じる利益を受ける人(本人または本人の指定する第三者)を「受益者」と呼ぶ。
したがって、信託は「委託者が受益者のために、受託者に財産を預ける関係」ということができる。
(※委託者と受益者が同じ場合を自益信託、異なる場合を他益信託といい、
一般的な金銭信託は自益信託の典型である。)
預金・・・消費寄託契約=同種同量のものを返還することを約して託する契約(寄託(きたく)とは、
当事者の一方(受寄者)が、相手方(寄託者)のために物を保管することを約し、
それを受け取ることによって成立する典型契約の一種である(民法657条)。)であり、
金銭を預かり、自己の財産と合わせて消費・使用(運用)し、預金者の請求があれば同額の金銭を返還するもの。
このように信託では財産の(名目上の)所有権が銀行(受託者)に移転するが、
預金では財産の所有権は移転しないという点が両者で大きく異なる点である。
このため信託では自己の財産と信託財産を分別すること、
信託財産を善良なる管理者の注意義務を持って運用することなどが必要であり、
約款、信託法などで運用収益は委託者の指定に従って受益者に引き渡すこと
(受託者は報酬をとることができる)なども規定されている。
また、信託法では、財産を分別管理することで、
受託者の財産への差し押さえの効力は、信託財産には及ばないこととされている。
外見的には、銀行(信託銀行)に金銭を預けて、満期時に利息とともに預けた金銭を
返還してもらうという点では変わるところはないが、その基本の考え方には上記のように大きな違いがある。
2.元本保証と元本補てん契約
よく元本保証という言葉が使われるが、これはどういうことを意味しているのか。
預金にしても信託(投資信託を含む)にしても、金銭を預かっただけでは運用収益は生まれない。
運用収益がなければ利息や配当は払えるものではない。
では運用収益はどのようにして発生するのかであるが、
収益を生むためには金銭を預かった者(運用者)はその資金を何かに投資しなければならない。
その投資対象は、第三者への貸し付けであったり、国債等の債券への投資であったり、株式投資であったりする。
これらの投資に対する一定期間後のリターンと投資元本との差額が収益となる訳であるが、
リターンが常にプラスとなる訳ではない。
市況その他の要因によってマイナスとなることもあるが、元本が保証されていない場合は
リターンがマイナスの場合は投資元本が目減りすることになる。
元本保証とはリターンがマイナスの場合でも元本が目減りしないということになる。
ではどうしてそのようなことは可能となるのか。
これは投資資金を預かる際に、元本補てん契約が存在することで可能となる。
つまり、契約によりリターンがマイナスとなった場合、投資資金を預かった側(運用者)が
自己の資金でそのマイナス分を補てんするというものである。
これが元本保証の仕組みであって、つまりは運用者に十分な資力がなければ元本保証は意味をなさない。
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(つづく)
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