後見制度支援信託(その4) ☆成年後見vol.9⑯☆

佐井惠子

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テーマ:成年後見と資格制限




こんにちは、司法書士佐井惠子です。
後見制度支援信託を利用する事案と裁判所が判断した場合には、
専門職後見人と親族後見人を複数選任し、
前者が財産管理・後者が身上看護に業務分掌することを原則とします。
専門職後見人は、信託契約をした後、裁判所の許可を得て辞任し、
その後は、親族後見人が単独で後見業務を行うこととなります。

後見人に就任した専門職後見人は、先ず財産目録と収支予定表の作成にかかります。
この段階において、ご本人の資産を調査し、その資産構成や遺言の有無など、
後見制度支援信託を採用することができるかどうかを調査します。
また、財産状況を踏まえて将来の生活設計を作成し、一定程度の余裕をもった手元資金があるように設計して、
いくつかの信託銀行から契約する銀行を選びます。

その後、家庭裁判所へ信託契約締結に関する報告書を提出し、家庭裁判所からの指示書謄本を受領した後、
3週間以内に信託契約の締結をします。

改めて、財産目録を作成し直し、信託契約書の写しや振込を証明する資料等を2か月以内に提出し、
家庭裁判所に、辞任許可と報酬付与の申立を行います。

辞任許可と報酬付与、分掌取消の審判が下りると、親族後見人に財産を引き継ぎ、
以後、親族後見人が単独で後見人として、手元に残った預貯金等で後見事務を行っていきます。

もちろん、臨時に多額のお金が必要となった場合には、
親族後見人は裁判所の許可をもらって、信託財産の払い戻しをすることとなります。

後見人就任直後は、とにかく忙しい。
本人名義の口座を後見人口座に切替であったり、各種料金や保険金引き落とし口座や、
年金の振込口座の変更手続きをするだけでも時間がたっぷりとかかります。
同時に、財産目録を調整するのですが、
それに加えて、生活設計をして、信託条件に落とし込む仕事があります。
申立時に一年間の収支予定表を作成していますが、
生活設計は、もう少し長いスパンで考える必要があるでしょう。
これは、親族と相談しながら、専門職後見人の経験を踏まえつつの共同作業となりますね。

信託銀行によって、後見制度支援信託の契約内容は異なります。
ケースによって、どこと契約するのがいいのかは異なりますでしょうし、
ペイオフを考えて分散することも検討しなければなりません。

専門職後見人としても、なかなか大変な仕事になります。

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お身内に、判断力に不安の出てきている方。
親族後見人や市民後見人をなさっている方。
成年後見人の申立をしようと思っている方。
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