成年後見人ならではの不動産売買 ☆成年後見vol.8⑲☆
こんにちは、司法書士佐井惠子です。
「後見人は、ご本人の価値観や思いの代弁者たれ。」
後見業務全般に流れる、後見人の存在意義はここにあるのですね。
人によって様々でしょうが、趣味のゴルフのクラブを次々に新しくしたり、
高価な宝石を次々と購入したり。
逆に、食事は倹約して、海外旅行に毎年行くという方。
一概に、贅沢、無駄遣いとは言えないですよね。
自分を振り返ってみても、他人から見ると、無駄遣いと思えるような
お金の使い方をしていることって、確かにあります。
それを、いちいち他人に指摘してほしくはないものです。
自分の収入の範囲内で収まっている間は、それも自由。自己責任です。
「そんな自分を棚に上げて」と、言われそうですが、
成年後見人という立場になると、どうしても、
ご本人の財産を守ることが一番という目線で、無駄遣いを見てしまいがちです。
それで、生活が立ちいかなくなっては、後見人の責任問題ですし、
今ある預金の範囲で、いつかは分かりませんが、その方の最後までを賄わなければならないと思うと、
ついつい出費は抑え気味にと、考えてしまいます。
「自分のお金をどう使おうと、とやかく言われたくないし、
裁判所にいちいちお伺いをしないといけないのは、納得できない。」
保佐人のついた方の中には、そんなことを仰る方もいらっしゃいました。
確かにごもっともです。
1月24日、筑波大学法科大学院 上山 泰教授による
「本人のための身上監護とは?~司法書士後見人としての対応~」
と題する研修に参加してきました。
そこで、こういったときの考え方の基本は、
「先ずは本人の考え方を出発点とする」「自分の人生を分かっているのは本人自身である」。
「後見人は、ご本人の価値観や思いの代弁者たれ。」と、いうもの。
それこそが、後見人の仕事なんだと思います。
後見業務を行うなかで、ご本人の「無駄遣い」と思えることに、どう対応したものかと、
悩んでおられる後見人さんの参考となれば嬉しいです。
司法書士佐井惠子
http://sai-shihou.jp