親族後見人でなく、専門職後見人が選任される場合 ~☆成年後見 vol.8①☆~
こんにちは、司法書士佐井惠子です。
成年後見人として、医療とどうかかわったらいいのでしょうか。
予防接種は?胃ろうの採否?足の切断などから始まって、いよいよ危ないときの、人工呼吸器の装着等々。
成年後見人は、医療専門家ではありません。
法的に、成年後見人には、医療同意権はありません。
ご家族がいらっしゃれば、まだその方の同意で進んでいくのでしょうが、
身寄りのない方については、それも難しく、医療の現場においても、この点が、まだまだ理解されていません。
できることは、ご本人の病歴や服用している薬など、説明をし、
ご本人に代わって説明を受け、ご本人ならどう考えたか・・・、
判断する術があればそれをお伝えすること。それが、精一杯です。
いくらかでも、意思疎通できる段階で知り合っていればいいのですが、
既に、それができなくなってからの後見人就任となれば、ご本人なら・・・ということも難しく。
ただ、積極的治療をするかしないか、選択にせまられたときに、
本人が判断することができない状況にある場合、
良かれと思う積極的治療を選択できず、保存的治療にとどめるしかないというのは、
残念に思います。
例え、胃ろうにしても、ご本人の病状が進み、意思表示もできない状態となってしまえば、
「食事もできない人を、栄養を入れて生かしておくなんて」という考えにも一理あるでしょうが、
それによって元気になり、おやつを食べられるように回復し、
気持ちがいいとか、嬉しいとかいう感情を持つことができたのです。
一概に、否定しきれるものではないと思います。
どうしたいか、どうしてほしいか、代わりに言ってあげたいけれど、
でも、人生の最後の最後にどう向き合うかは、やっぱりひとりひとり違うだろうし、
そこは、代われないところだと思います。
入院するとき、施設に入るとき、身寄りのない方にとっては、
将来、いよいよ危なくなったときの医療上の判断をする人がいるかどうか、
そこのハードルが高く感じでなりません。
司法書士佐井惠子
http://sai-shihou.jp