抵当権抹消登記の前に、相続登記を済ますべし ☆相続・遺言vol.6⑲☆
こんにちは、司法書士佐井惠子です。
不動産登記を申請する際に、必要となるものに、登記済証(権利証)と登記識別情報通知があります。
何れも、ご本人自身が申請をしているということを、間接的に担保するためのものです。
両者は、同じような本人確認手段ではありますが、
登記識別情報通知となって、皆様に喜んでいただけるところは、
相続で複数名の相続人の名義にする登記申請の場合、これまでは一通の登記済証しか交付されなかったものが、
登記識別情報通知となってより、人ごとに交付を受けることができるようになったところです。
また、先程のように、一度に沢山の不動産の登記申請をしても、不動産毎に登記識別情報通知が発行されるようになったところでしょうか。
権利証というのは、正しくは、登記済証といいます。
これは、登記をした際に、登記所(法務局)から交付される書面で、
朱色の長方形の枠に登記受付日と受付番号、そして法務局名の入った印鑑が押印されています。
次に登記を申請する際に、本人確認手段の一つとして、提出を求められるものです。
長く使われてきましたが、登記事務の電子化の流れの中では、この本人確認手段は両立できないものとなり、
全ての法務局においてオンライン指定庁となった今では、
新たに申請された登記については、工場財団などの一部の例外を除いて、
12文字のアルファベットとアラビア数字を使ったパスワードが、不動産ごとに、
申請人となった登記権利者一人一人に交付されるようになりました。
そして、この登記識別情報は,登記名義人本人による申請であることを登記官が確認するため,登記所に提供することになります。
さて、登記済証は、一つの申請に対して一つの登記済証が交付されるため、
登記の申請の仕方に工夫をします。
ところが、先日、数十個もの不動産を一度に申請した登記済証を見かけました。
そんな場合、その内の一つの不動産を売却することになって、登記済証を法務局に提出する場面で、
たった一つの土地の売却のために、一切合切が載っている登記済証の提出をするということに、
抵抗を感じて躊躇するということになった訳です。
例えば、この不動産は売却など考えられないもの、これは売却処分を想定しているもの、
これは経済的に一体のものと、グループに振り分けて、
別々の登記済証の交付を受けるように申請方法を考えるのが、親切でしたね。
一長一短ありますが、
お手元にある登記済証(権利証)は、今でも本人確認手段として使用できますので、
大切に保管しておいてください。
登記済証と登記識別情報通知は、併存しています。
そして、インターネットや銀行のキャッシュカードなど、他のパスワードと違い、
登記識別情報通知が無くなった場合は、再通知、再交付はされません。
また、登記済証は、登記識別情報通知に交換することはできません。
司法書士佐井惠子
http://sai-shihou.com