成年後見人の印鑑は個人の実印?それとも職印? ☆成年後見vol.8⑪☆
こんにちは、司法書士佐井惠子です。
会社が、経営者の方の精神状態に左右されないためには、任意後見契約が有用です。
そのためには、任意後見人に与える代理権に、取締役の辞任という項目を入れておきます。
任意後見人の登記をする東京法務局において、オーナーの精神上のリスクに対する備えとして、
議決権の代理行使やお金を貸し付けることなどは(☆)、問題なしと判断されたのですが、
取締役の辞任は、任意代理人には代わってできない一身専属の権利ではないかという意見が出て、
その結論が法務省から出るまで、任意後見人の登記をストップするという状況にありました。
法定後見人や保佐人がつくと、法律上当然に、取締役を退任することになりますが、
任意後見人については、当然に退任する規定はありません。
それに備えた、今回の任意後見契約です。
「任意後見監督人就任とのきをもって辞任すること」と、
辞任のタイミングを明確にしていたこともあり、
先週、ようやく、代理権を認めて問題ないとの結論となりました。
大株主の議決権が行使できなくて、会社が立ち往生しないための備えとして、
経営判断ができない状態にある取締役として、存在し続けることの弊害を避けるためにも、
オーナー兼経営者のための任意後見契約は、有用です。
司法書士佐井惠子
http://sai-shihou.com
(☆)全てに認められるという訳ではなく、個別事案毎の判断になります。必ず、専門家にご相談下さい。