生保信託 登場 ☆成年後見vol.2⑱☆
みなさん、こんにちは。司法書士佐井惠子です。
管理信託による京町家再生事業を、2010年7月27日の京都新聞、住宅新報が報じています。
それは、京町家を10年契約で管理信託して、法人に賃貸し、
その賃借人から10年分の賃料全額を受け取り、それを源資に建物を改修し、
その上で、その建物は住居として転貸するというものです。
10年の間は、所有者に家賃は入ってきませんが、固定資産税などの負担もなく、
10年後には、改修された建物は所有者に戻ってきます。
今、京町家の趣を活かした店舗が、若者の共感を呼んでいます。
日本手ぬぐいや、Tシャツの店であるとか、カフェであるとか・・・。
一軒抜けてしまうと、折角の町並みが台無しになってしまうのはご承知のとおりです。
建築基準法を守れば、同じ大きさの建物は建てられない場合もあるでしょう。
資金も必要です。
今回の記事で、町家の所有者に後見人が就いておられることに、一番関心を持ちました。
被後見人が所有する財産を積極的に事業に利用することは、なかなか難しいのです。
なるほど、保有不動産を賃貸に出すこと自体は可能であるものの、
その不動産を担保に、事業資金の調達をして大改修というのは、できそうにありません。
銀行も融資しないでしょうし、裁判所の許可も難しい。
では、売却しかないのか? 小修繕をして賃貸に出すか?
それに留まらず、
信託して、一旦被後見人の財産から逃して活用するという今回の様な事例は、
もちろん、ご本人の資産が十分であるという前提なのでしょうが、
成年後見=ご本人の福祉という発想をスッと飛び越えたところが愉快でした!
成年後見のお仕事を進める上でのリーディングケースとさせていただきます。
司法書士佐井惠子
http://sai-shihou.com