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給湯器の歴史と最新の動向

2017年5月8日 公開 / 2017年9月5日更新

テーマ:水廻りリフォーム

コラムカテゴリ:住宅・建物

お風呂を沸かしたり、シャワーを使ったり、私たちは普段から当たり前のように給湯器を使用しています。
給湯器は戦後のガス風呂釜の時代から様々な技術革新を経て、現在に至っています。
では給湯器の変遷はどのように普及してきたか、その歴史をさかのぼってみましょう。

ガス釜風呂からセントラル給湯へ

給湯器の需要は戦後の混乱期を抜け出した1950年代に増大します。ガス給湯器はもともと1930年(昭和5年)に国産第1号が発売されていましたが、戦後シャワーという入浴習慣を持つ進駐軍が、ガスのインフラ整備やガス器具開発を強く要望したという背景もあり、ガス会社が積極的に風呂釜の提供を拡大したのです。それまでの中心的な熱源が、薪・石炭という固形燃料の時代から、ガス・石油へと大きく転換を遂げていきました。1965年頃は、台所のガス小型湯沸器、内風呂(1963年家庭風呂普及60%)が普及する中で、小型タイプが主流だった湯沸器市場は浴室でのシャワーニーズの高まりにより、中型湯沸器でのセントラル給湯の時代を迎えます。


国産第一号ガス湯沸かし器

昭和のお風呂のイメージ

お風呂準備もワンタッチの「お風呂の自動化」

80年代以降は「お風呂の自動化」が加速されます。当時ほとんどの家電製品が自動化されている中で、お風呂の準備には2度、3度と浴室に足を運び、お湯を溢れさせたり熱くしたりしないよう確認する必要がありました。
そんなことから「お風呂の自動化」は必然の開発方向でした。
1983年には戸建て住宅で給湯器付き風呂釜ででの全自動化、1984年には集合住宅に対してFS設置型コンパクトガス給湯器での高温指し湯追い炊き、定量給湯で自動ストップ化機能が付いた製品が発表されます。

熱源の多様化で省エネ化が加速

給湯器の熱源としてガスだけではなく石油、電気もありますが、最近になると省エネ化の流れから、電気式の「エコキュート」、ガス式の「エコジョーズ」、電気式、ガス式を組み合わせた「ハイブリット給湯器」等が市場に参入してきています。
またガス中の水素と空気中の酸素との化学反応により発電する燃料電池コージェネレーションシステム「エネファーム」も普及してきています。
2016年4月に電力小売り、2017年4月には都市ガスの自由化により消費者はライフプランに合わせ、自由に給湯機を選択できるようになりました。
給湯器も今後多種多様な商品が市場に投入され、省エネ化技術もより一層開発されていくものと思われます。


エネファーム

最新の給湯器の買い替え時期とその理由につて

では新しく給湯機を導入しようとする時、その時期と理由も探っておきましょう。
約5年前の給湯器の平均寿命は約13年と言われていました。
それは使用の頻度や設置環境により、8年で壊れるものから20年近く使用できるものまである中での平均値をとっているのでしょう。
では最新の住宅産業協議会の「リフォーム実施状況に関するアンケート調査」によると、15年で取替えたケースが一番多く、15年以上も使い続けているというケースもあるようです。
これは昨今の技術革新により給湯器の寿命は5年前より上がっているいう事なのでしょう。
ではどのようなきっかけで給湯器を取り換えたのでしょうか?
リビングアメニティ協会が実施した「住宅部品についての満足度調査」では「不具合が多発する」が一番多く、次いで「基本性能・使い勝手が劣化した場合」「省エネなどの環境を考慮する場合」という順になっています。
買い替えの傾向としては、故障などの理由が多いのですが、「省エネ」などの環境配慮も上位に入っていることから、性能面での買い替えも関心が高まっています。
最近では、熱源がガス・電気とも同じ量のお湯を作っても以前の機器よりエネルギーの使用量を減らし、Co2の発生を抑えて環境保護にも役立つ給湯器や、給湯と創エネを兼ね備えた機器など消費者が選ぶ際にも選択肢の幅が増えています。

給湯器はお風呂を沸かしたり、食器を洗ったりする等、使いたいときにすぐお湯が使える便利な住宅設備機器です。
長い歴史の中で進化してきた給湯器は、今や現在の暮らしには欠かすことのできない生活必需品です。
そしてその進化は壊れたから取り替えるものから、環境や自らのライフスタイルに合ったものを選択し、暮らしの向上へ役立てるものとして立場を変えてきました。
給湯器ひとつが暮らしを変えるといっても過言ではありません。
その暮らしを変えるひとつとして、給湯器の交換時期にはライフスタイルに合った給湯器を選択してみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いたプロ

舘慶仁

古家再生・長屋リフォームの専門家

舘慶仁(リフォームワーク)

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