企業はどんなときでも解雇できない?

真田直和

真田直和

テーマ:就業規則

コロナ危機も緊急事態宣言が発出されて、とても重大な局面になっています。
休業を余儀なくされた中小企業も死活問題になっています。
従業員を解雇する中小企業も多くなると考えています。

政府は雇用調整助成金という助成金の拡充を図り、雇用を継続するよう支援しています。
この雇用調整助成金は、労働基準法で決められた休業手当を従業員に支払うことが条件のひとつです。
しかし、この急激な社会情勢と先行きが見通せない状況。
中小企業にとって休業手当を支払うことすら厳しいのが現実です。

先日、あるタクシー会社が従業員約600名を解雇にしました。
解雇して失業保険をもらうほうが従業員にとってメリットがあるという判断です。
これには不当解雇という声も多く聞こえます。
また、弁護士や社会保険労務士も違法性を訴えます。

では、会社はどんな状況でも従業員を解雇できないのでしょうか。
解雇には4つの要件があります。
1.どうしても人員を整理しなければならない経営上の理由がある
2.解雇を回避するためにあらゆる努力を尽くしている
3.解雇するための人選基準が合理的かつ公平である
4.解雇について納得を得るための努力を尽くしている
これら4つの要件がタクシー会社の例に当てはめてどう判断できるのか、が重要です。

リーマンショックのときをよく事例として紹介されます。
しかし、今回は人為的なリーマンショックではなく、先行きが見えない危機です。
同じように論じることは危険です。

解雇を推奨することはできません。

会社と従業員にとって、できるだけ良い選択を冷静に考える必要がありますね。

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真田直和
専門家

真田直和(特定社会保険労務士)

真田直和社会保険労務士事務所

解雇、残業、労働時間など「人」に関する労務問題を4万件以上解決。また、大企業から中小企業まで幅広い業種の人事評価制度設計のコンサルティング実績も豊富です。

真田直和プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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