クリニックチームビルディングにおけるリーダーづくり
私どもの院長夫人コーチングのクライアントでクリニック経営のマネジメントに真剣に取り組んでいる院長夫人のコラムをお届けします。今回のテーマは「理念を実践している!リーダースタッフのエピソード」です。
また診療報酬改定の季節、そして新入職者を迎える季節です。
スタッフとは、よい意味でも悪い意味でも、私たちにいろいろなことを教えてくれるおもしろい存在です。
うちのクリニックでは、受付・リハビリ助手さんの新入職者は、はじめの1ヶ月は勤務日に日誌を書くことが義務付けられています。
その日誌を監督するリーダーが2人いて、2人の目を通ったものが私のところへ届きます。
その日誌から、新入職者のもつ悩みや躓きが浮かび上がるのは当然なのですが、このリーダー達がどう指導しているかということが、思いのほか浮き彫りになります。
うちのクリニックのリーダーは、ある程度、実務レベルの経験を積み、加えて新人指導経験も積み、院長や私といろいろな意味で意思疎通の図れる者にリーダーになってもらっています。よって、他のスタッフよりも長く関わっていることもあって、だいたいの考え方や志向がわかっています。
その志向をふまえて、この日誌を読みますと、とても多くの情報が詰まっていることに気づきます。先日、こんなことがありました。受付リーダー指導の日の日誌でした。
「ムダな動線を通るべからず、患者さんのすべてに早急に対応すべし」と、教えられたと新人さんは書いていました。
このリーダーは、患者さんに二度手間させないという点でも、患者さんをお待たせしないためにスタッフも二度手間しないという点でも、動線にこだわることが大切であることをよく知っています。
しかし、「ムダな動線を通るべからず、患者さんのすべてに早急に対応すべし」と教えられた新人さんが「ムダ」を犯してしまった時に、自分の動線の「ムダ」を取り戻そうとします。その帳尻合わせのための手間を、患者さんにかけさせてしまう傾向にあります。
その動きに対して、この受付リーダーは、『ムダな動線を通ってしまった者、労を惜しまず、とことん患者さんに親切な対応を選択すべし』とバチッと重ねてダメ出しをしていることが、日誌からよくわかるのです。
彼女が、指導に指導を積み重ね、経験によって得た教え方なのでしょう。だれも、そのように教えるようにリーダーに教えたわけじゃありません。院長が“親切”を接遇理念に掲げ、言い続けたことを真の意味で伝えてくれているのだと思います。私は、この受付リーダーを誇りに思います。クリニックでは日々いろいろな事が起こりますが、誇りに思えるスタッフと一緒に頑張っていきたいと思います。