見た時に目が輝く!ついつい読んでしまう就業規則の作り方~なぜツマラナイ就業規則が多いのか

神野沙樹

神野沙樹

テーマ:就業規則に関すること

いきいき就業規則とは

就業規則はお堅いもの…そんなイメージがありませんか




「就業規則 ひな形」と検索すると、たくさん出てくるデータの数々。
それらを見てみると、おしなべて「第○条 ~である」
「第●条 ~でなければならない」という表現になっています。

厚生労働省が出しているひな形がそうなのですから、
おそらくみなさんは「就業規則と言うのはそういう書き方をしなければならないもの」
と思っているのではないでしょうか。

しかし、決してそんなことはありません。

労働基準法という法律には、
「書かなければならない事項」は決まっていますが、
「こう表現しなければならない」という規制は定められていません。

つまり、第●条という書き方をせずに、「1.2.3.・・・」と付番して行ってもいいですし、
「~である」ではなく「~です」とですます調で表現しても構いません。

「労働時間」と書かずに「働く時間」と書いても良いし、
「賃金」と書かずに「働いて受け取るお金」と書いても良いのです。

それでは、表現は自由であるはずなのに、なぜお堅い文章が多いのか。
理由は明白です。

「法律の条文からそのまま引用して作っているから」です。

例えば「時間外労働(残業)」「休日労働」に関して見てみましょう。

あまり読みたくない内容かもしれませんが、
時間外・休日労働に関して、労働基準法という法律では次のように定められています。

使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出た場合においては、第32条から第32条の5までもしくは第40条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この項において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによって労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。


そして、厚生労働省から出されている就業規則のひな形は次のとおりです。

1業務の都合により、第●条の所定労働時間を超え、又は第●条の所定休日に労働させることがある。

2前項の場合、法定労働時間を超える労働又は法定休日における労働については、あらかじめ会社は労働者の過半数代表者と書面による労使協定を締結するとともに、これを所轄の労働基準監督署長に届け出るものとする。


このように、法律の文章をもとに、
「ちょっぴり読みやすくしたもの」それが就業規則なのです。

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就業規則の表記方法に制限が無いということは前述したとおりです。
しかし、一方で「法律上の言葉を使わないと何か問題が起こるのではないか」
という懸念を持たれる方もいらっしゃるでしょう。

その答えは「何のために就業規則を作るか」「社内の状況はどうか」によって変わってきます。

もし、就業規則を作る目的が
「問題社員(トラブルを起こす社員)を罰するために作る」のであれば、誰も読まないような規則、
それでいざという時に「ほら、ここに“●●しなさい”“●●してはいけない”と書いてあるじゃないか」
といえる規則を作ればよいでしょう(ただし、もちろん法律や公序良俗に違反する内容が
書いてあったとしても無効になります)。

しかし、良い会社、良い組織を作りたいということであれば、
「互いに尊重し合い、守り、高めあうルール」は必要であったとしても
「誰も読みたくもないガチガチのルール」は不要でしょう。
(参考:「会社を守る就業規則」は要らない~就業規則を作るのは何のため

セミナーや企業訪問をした際に尋ねると、
大半の方は「必要なルールを備えたいのであって、
ガチガチにしばりたいわけではない」と答えられます。

それであれば、読んでもらえる内容、
読みたくなる規則を作らなければならないのではないでしょうか。
なぜなら、「ルールを知らなければルールを守れない」からです。

サッカーでも野球でも、「皆で優勝を目指そう」といったところで、
ルールを知らなければ試合にすらなりません。

自分達は何を大切にして働くのか、どんな行為は絶対に仲間として許せないのか。
それらを明らかにして、誇りを持って働くためのツール、それが「いきいき就業規則」だと思います。

そんないきいき就業規則を作る際、一度、自問自答してみてください。

「作る自分自身が読みたいと思える内容というのは、どんな内容なのか」と。

労働者ではなく「社員」
使用者ではなく「会社」、
労働時間ではなく「働く時間」
懲戒事由ではなく「仲間として絶対に許せないこと」
服務規律ではなく「働くうえで大切にすること」

と書いた方が、「読んでみよう」という気になるのではないでしょうか。

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見た瞬間「なにこれ!」と目が輝く就業規則




ある企業において人事プロジェクトを立ち上げ、「就業規則」を作っていた時のこと。

1年近く向き合ってきたメンバーを見て、私たちはあることを感じました。
それは、こちらの社員さんは「読む規則」ではなく「見る規則」の方が適しているのではないかと。

そこで、就業規則をA3両面に凝縮し「カルタ風」にまとめ、
さらには物流会社様でしたので、カルタの絵を「標識風」に表して仕上げてみたのです。

その「カルタ風就業規則」を手に取った時の社員さんの表情が忘れられません。

「おー!!」
「やばっ!」
「何これ~」


その目の輝きと、ニヤニヤ眺めるその表情は、
明らかに「興味を持って」就業規則というものを見ていました。

もちろん、就業規則の全文はカルタには収められませんので、
カルタに対応する「読む規則」も作りました。

みなさんの会社の就業規則を見た時に、社員の方の目は輝きますか?
読もうと思いますか?
自慢しようと思いますか?

「誰も知らない内容」は守りようも、よくしていきようもありません。

ぜひ、「興味を持って見てみようと思う就業規則」を目指してみてはいかがでしょうか。


■まとめ


就業規則が単に「あるだけ」では会社は良くなりません。
しかし、自分達が何を大切に働いているのか、
自分達が働くルールは何なのかを知らずして、良い会社にもなりえません。

せっかく時間を使い作成する就業規則ですから、
「お堅いイメージ」にしばられることなく
「どんなものだったらウチの社員は興味を持って見るかな?」と想像しながら、
作って見られてはいかがでしょうか。

きっとそれが、自社オリジナルの「いきいき就業規則」になると思いますよ!

参考になれば幸いです!

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神野沙樹
専門家

神野沙樹(社会保険労務士)

株式会社Niesul(ニースル社労士事務所併設)

経営者様、社員のみなさん自身による「就業規則」や「評価制度」づくりをサポートする社会保険労務士。第三者の立場として「制度づくり+人づくり」を促し、真にイキイキとした職場づくりを提案します。

神野沙樹プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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