世界一わかりやすい「かんたん就業規則解説」~就業規則に記載すべき内容とは
御社が就業規則を作る理由は何ですか
就業規則を作りたい、あるいは見直したいと言われる会社様に伺って、はじめに確認すること。
それが「御社が就業規則を作る(改定する)理由はなんですか?」ということ。
すると、次の3つに集約されます。
1.法律で決まっているから
(社員数が10人を超える、実態に合っていない就業規則など)
2.リスクヘッジ・何らかの労使トラブルに発展した時に対応できるようにしておきたいから
(就業規則に書かれていないと会社が守れない(訴訟で負ける)など)
3.働き方を見直している・社内体制を整備しているから
(社内体制の変革に合わせて、規程も修正したい)
御社の就業規則作成(改定)の目的も、上記にあてはまるでしょうか。
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「就業規則」があれば「いい会社」「いい組織」になるのか
さらに、もう一つお伺いすることがあります。
それが「就業規則を作ることで、どのような変化・状況になることを期待していますか?」ということ。
すると、「安心して働ける環境」や「社員が働きやすい環境」「定着する会社」「トラブルが起こらない」など、一言で言えば「良い会社にしたい」という答えが返ってきます。
それでは質問です。
「就業規則を作れば、良い会社」になるのでしょうか。
仮に、完全無欠のルールと作ったとしましょう。
法律で決められている条件を満たすことはもちろんのこと、スキも穴もありません。
どこを突っ込まれても大丈夫。
さて、その規則があれば「良い会社」になるでしょうか。トラブルは起こらないでしょうか。
これを考えるために、例で考えてみましょう。
例えば、完全無欠の交通ルールがある国があったとします。
○○してはならない、△△してはならない、もし違反たときは、××の罰則、□□の罰則…こと細かに決められていたとしたら、どうでしょう。
罰則を恐れて、違反をする人は少なくなるかもしれません。
しかし、ゼロにはならないでしょう。
なぜなら、規則はあっても、それを運用するのは「人」だからです。
心にスキができることもあるだろうし、ふと悪い心が出てくることもあるかもしれません。
もっと言えば「住みやすい国」とは到底言えないのではないでしょうか。
罰せられることを恐れてばかりでは、自由な発想はできませんね。
実は、就業規則も同じ。
こと細かに決めることは、確かに「トラブルなど何か起こったときの判断材料」にはなるでしょう。
しかし、トラブルは毎日起こりますか?全社員がトラブルを起こす社員ですか?
そのいつか起こるかもしれない僅かの確率のために、残りの「何も起こらない毎日」「頑張る社員」について、厳しい制限を掛けますか?
就業規則づくりは「手段」であって「目的」ではない
就業規則を作ることによって期待する結果・状況を「良い会社」と考える経営者は多いです。
しかし、前述のとおり「規則を作ったから良い会社になるわけではない」とご理解いただけたと思います。
つまり、「就業規則」という存在(成果物)が良い会社を作るわけではありません。
あくまでも、良い会社を作り上げるのは、そこで働く経営者を含めた社員の方々です。
そう考えると、成果物に価値があるのではなく、就業規則づくりを通して自分たちの働き方を考え、見直す、その「過程」に価値があるのではないでしょうか。
言い換えれば、せっかく就業規則を作る(改定する)のに、企業の成長機会にしないのは勿体ないです。
なぜなら、就業規則づくりは「良い会社、目指すべき会社の未来に成長するための手段」であって「目的」ではないからです。
今一度、なぜ就業規則を作る(改定する)のか、作る(改定する)にあたってどのような過程を辿れば、自社が良くなるのか、考えてみてはいかがでしょうか。
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■まとめ
今回は、就業規則を作るその理由と、期待するその効果について見てきました。
作り始めるとつい「就業規則を作ること」が目的化されてきます。
これは、われわれ社会保険労務士としても気をつけなければならないと思っています。
「完全な就業規則を(作ろう!)」そう思えば思うほど、制度上も、そこで働く人々の気持ちも「余白」がなくなり窮屈なものが出来上がります。
そうではなく、「就業規則を作る過程を企業の成長機会にしよう」と考えてみてください。
すると、自社にはどのような規程があることが幸せなのか、自分たちはどのような価値観を大切に働いているのか、と考えることができますよ。
冒頭、就業規則を作る理由は次の3つに集約されると述べました。
1.法律で決まっているから
2.リスクヘッジ・何らかの労使トラブルに発展した時に対応できるようにしておきたいから
3.働き方を見直している・社内体制を整備しているから
ここに1つ追加したいと思います。
4.「良い会社」に成長する機会として
ぜひ、御社の成長機会に活用してくださいね。
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