○不告知誘導○

宮本裕文

宮本裕文

テーマ:不動産トラブル


団体信用生命保険の不告知

契約最優先主義の代償

(事例)
「この契約が流れるとノルマが達成しない。絶対成立させないと!」
そう思いながら、住宅営業マンのAは、買主Bに住宅ローンの申込書に必要事項の記入をお願いした。Bが病歴の欄まで書き進んだとき、Aに尋ねた。「実は、私には○○という持病があるのですが、書いた方がいいでしょうか?」

不告知誘導

契約を成立させることで頭がいっぱいだったAは「その病歴は、告知しない方がいいですよ。」と思わず言った。

数日後、気になった買主Bが直接銀行に連絡をし、病歴があることを告げたうえで大丈夫かどうか確認したところ、告知義務違反で住宅ローンの融資は不可に。Aに不信感を持った買主Bは他銀行に住宅ローンの申請をすることはせず、契約自体をとりやめることにした。

不告知の代償

トラブルの原因は、契約最優先主義だと思います。「契約が不成立になったら困る」という短絡的な考えで生じたトラブルと言えるでしょう。
もし、買主Bが病歴を告知せず融資が実行されたとしても、後日告知義務違反により団体信用保険・住宅ローン融資が解除され、融資の一括返済を求められた場合、買主Bは大変困難な状況に陥り、不告知誘導した仲介業者に損害賠償請求がなされることも考えられます。

一般社会人において、多額の借入金を背負うことになる住宅ローンは、生涯で最大のリスクだと考えられています。何十年もの期間ローンの支払い義務を負い、万一返済できなければ破産に追い込まれてしまうリスクを背負うことになるので、宅建業に従事する人は、顧客ファーストの立場に立ち、適切にアドバイスをしなければならないと思います。

*事例はフィクションです


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宮本裕文
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宮本裕文(宅地建物取引業者)

有限会社富商不動産販売

障がい者(心と体)に特化した賃貸住宅入居支援の専門店です。また、宅建士として37年の知見を基に不動産お役立ちコラムを発信しています。

宮本裕文プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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