正しい事が良い結果とは限らない。
契約の成立
●不動産売買の具体的なケースで、その契約が成立したか否かでトラブルになることがあります。
不動産取引に関わる宅地建物取引業者としては、不動産という高額で、しかも動産のように頻繁に取引が行われるものでない物を対象とする売買では、その成立時期について慎重に判断する必要があります。
民法の考えでは、「売ろう」「買おう」という当事者の意思表示の合意のみで成立し、しかも契約書等の書類の作成は必要とされていませんが、不動産という特色からみて、そのような考えは一般社会には受入れられないと思います。
一般的に、不動産の売買では、売買価格や支払時期、所有権移転登記の時期、引渡しの時期など基本的な条件やその他の具体的条件を話し合い、その合意に基づき売買契約書を作成し、当事者が署名捺印をするのが通常です。
このどの過程で契約が成立したかは、当事者の意思も考慮しながら総合的に判断する必要があります。
●しかし、少なくとも「買付証明」と「売渡承諾書」の交換だけでは、まだ売買契約は成立していないと考えて業務を進めることが必要だと思います。
だだし、たとえ契約が成立していないとしても、当事者間に全く法律関係が生じないわけではなく、契約の締結に向けて交渉してきた人が、突如、契約締結を取りやめた場合、過失のある一方の当事者には信義則上、損害賠償責任を負うということも考えられるのではと思います。
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