「賃貸借契約」 入居前の解除 支払った金員はどうなる?

宮本裕文

宮本裕文

テーマ:不動産トラブル

入居前の契約の解除 支払金は返還されるのか?


●入居前の解除

(事例)
契約を締結し、前家賃・敷金・礼金・仲介手数料を支払い、部屋の鍵も受け取っています。
しかし、事情があり契約を解除しなくてはなりません。まだ、入居前なので支払った金銭は全額返還されますか?


●入居前の契約の解除 その考え方と対応は

契約成立後の解除ですから、約定(契約書条項)に基づき解除の処理を行なうことになります。

このケースの場合、契約が成立していることに間違いはありません。そして、借主の都合により解除したいということですから、契約の約定に基づいて解除処理が行われることになます。

従って、借主が未だ入居していないことでその解除処理が左右されることは、原則としてありません。(家主の厚意は別の話となります。)

(礼金)
礼金の性格については多様の考え方があり、一概にはいえませんが、敷金とは異なり契約解除時に返還されない性格のお金ですので、実務上でも返還されないことが一般的です。

(仲介手数料)
既に契約が成立していることから、媒介(仲介)業者の報酬請求権は発生しており、媒介業者が原因での解除ではないことから、媒介業者は正当に仲介手数料を請求することができます。


●中途解除特約がない場合の賃貸借契約には注意が必要です!(注1)

中途解除特約がない場合、借主は契約の残存期間の賃料を支払う義務があります。
賃貸期間を2年で契約して、半年後に契約を解除した場合、中途解除特約がないときには、契約の残存期間1年6ヵ月分の賃料を支払わなければなりません。

裁判で争った場合、全額の支払までは認められないことも考えられますが、かなりの期間分の賃料支払が認められる可能性があります。

(注1)中途解除特約とは、「借主は解除希望日より○ヵ月前に貸主に通知すれば契約期間中でも契約を解除することができる。」など



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宮本裕文
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宮本裕文(宅地建物取引業者)

有限会社富商不動産販売

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