収益不動産の売買。過去の借主の不自然死の説明義務は?

宮本裕文

宮本裕文

テーマ:収益不動産の経営

媒介業者がその事実を知っている場合。


借主が自殺したことによる貸主の損害としては、①借主が自殺したこと自体よる
「建物の価値の減少」や、②新たな入居募集が困難になることで生じる「賃料利益
の喪失」が考えられます。(以下、事故)

収益不動産の買主が、過去に事故事件があったことを知り、「建物価値が減少し
ており、売買価格は高すぎた。」として、売主に対して価値減少分の売買価格の
減額を求め、媒介業者に対しては、説明義務違反があったとして仲介手数料の
減額を求めた場合の解決はかなり困難と言えそうです。

(売主の売買代金の減額は)
当該事故により、契約時においての、売買価格が高すぎたか否かについて、判断
することは困難(最終的には裁判所の判断)ですが、①収益建物としての予定さ
れる収益が確保されていること。②事故物件であることが入居者間において特に
問題になっていない場合。などであれば建物価値にさほど影響を与えているとは
考えられず、減少しているとまでは言えないと思います。

(媒介業者の仲介手数料の減額は)
媒介業者が事故物件であることを知っていた場合には、建物価値の減少の有無
の問題とは別に、その事実を買主に告知しておくことが望ましいと言えます。
しかし、賃料による収益が確保されており、過去の事故に対する嫌悪感も薄れ、
賃貸経営に特段の支障が生じていない場合などでは、媒介業者が直ちに宅地
建物取引業法上の説明義務違反に該当するとまでは言えないと思います。

しかし、トラブル防止の面からも、「知り得た事実」は客観的に説明しておくことが
望ましいとされています。

20年前の不自然死事故と告知義務。



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宮本裕文
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宮本裕文(宅地建物取引業者)

有限会社富商不動産販売

住宅確保要配慮者のための賃貸住宅専門店です。障がいのある方、高齢者の方へ積極的に賃貸住宅の仲介をしています。

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