隣人が過度の子供嫌いであることを隠して売買契約を締結!その責任は?

宮本裕文

宮本裕文

テーマ:不動産トラブル

説明義務違反となる場合もあります。


売買物件の隣地に過度の子供嫌いの人が居住していたが、そのことを隠して
売買契約を締結した事例。

売主Aさんは、隣人とトラブルを抱えていました。隣人はAさんの子供の騒ぐ声
が気に入らず、「うるさい」「引越しをしろ」などいわれたり、テレビの音を大きくさ
れたり、次第に苦情がエスカレートしていきました。

Aさんは、たまらず住み替えを考えて、この自宅を売却しました。ところが子供の
いる買主Bさんが入居するとすぐに、隣人から「Aみたいに追い出してやる」等の
嫌がらせを受けました。

「隣人が過度の子供嫌いなど聞いていない、説明義務違反だ。」として売主及び
媒介業者に損害の賠償を求め提訴しました。

●媒介業者の言い分
1.確かに内覧時何度か隣人から「うるさい!」などといわれたが、そこまで酷い
状態とは思わなかった。
2.隣人については、個人のプライバシーに関する事項であり、重要事項には
当らず説明義務はない。
3.そもそも売主からそのような話は聞いてなく、責任は売主のみにある。

●売主の言い分
1.積極的に虚偽の説明はしたわけではなく、聞かれなかったから黙っていただけ
で責任などない。

裁判所の判断
・裁判所は、売主及び媒介業者に対して、買主の損害賠償請求の「一部」を
認めました。

この事例から学ぶことは。
① 何を説明するべきか
・買主が売買契約を締結するに当たり、その判断に大きく影響を与えると考えら
れる事項については、事前に告知、説明しなければいけません。

② 媒介業者の説明義務
・内覧時に、隣人から「うるさい」などと苦情があった場合には、隣人の人柄等や
トラブルの有無を売主に確認することも必要となります。そしてその事実が売買に
大きな影響を与えると考えられる場合には、隣人のプライバシーには十分に配慮
しながら、事実を客観的に説明する必要がありそうです。

③ 売主の説明義務
・売主は媒介業者を介しているからといって、説明義務を免れるわけではありま
せん。虚偽の回答や虚偽ではないまでも誤った認識を持たせるような回答をし
た場合には説明義務違反になることもあります。

このようなトラブルを回避する為に、「物件状況確認書」には売主の自署にて
事実を記入してもらう作業がとても重要となります。

迷惑行為をする隣人、説明義務はあるのか?


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宮本裕文
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宮本裕文(宅地建物取引業者)

有限会社富商不動産販売

住宅確保要配慮者のための賃貸住宅専門店です。障がいのある方、高齢者の方へ積極的に賃貸住宅の仲介をしています。

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