20年前の不自然死事故と告知義務。

宮本裕文

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宅地建物取引業法としての解釈は。

媒介業者により、築25年の中古マンションを購入したが・・・当該マンション内で売主
の身内が不自然死をしていたことが判明・・・買主は売主と媒介業者へ説明義務違反
があると主張した。

売主の言い分・・・20年前に室内で不自然死があったのは、事実である。しかしその後
、平穏にここで生活しているので、敢えて説明する必要は無いと思った。

媒介業者の言い分・・・売主との会話の中で、20年ほど前にそのような事実があった
ことは、なんとなく察せられたが、プライバシーの問題もあり、具体的な話はしていない。
よって、不自然死の事実は確認していないので説明義務はない。

さて、今回のケースでは、「20年前」が大きなポイントとなります。心理的瑕疵は時の
経過により、その嫌悪感も薄れるものと考えられています。

裁判所の考えでは、「不自然死の存在が、瑕疵といえるのは、買主のみの判断で
同事由の在する不動産への居住を好まないだけでは足らず、通常一般人において
、買主の立場に置かれた場合、著しく住み心地を欠き、居住用に適さないと感じる
ことに合理性がある場合に判断される」とされています。

今回の場合は、20年の年月は不自然死の嫌悪感を風化させるには十分な期間だ
と考えられ、心理的な瑕疵を認める合理性はないと思われます。

従って、媒介業者がその事実を知っていたとしても、特別の事情がない限りは、宅地
建物取引業法上の説明義務違反には該当しない可能性が高いと思われます。

ちなみに、風化する期間の取決めはなく、都道府県や業者によっても異なっています。
7年~10年と理解していることが一般的かもしれません。
        ・・・諸説ありますので注意が必要です。・・・


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宮本裕文(宅地建物取引業者)

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