大人ピアノ指導法:①「体験講座」基本の流れと時間配分

光畑浩美

光畑浩美

テーマ:講師の養成/大人ピアノ指導法

7分ですぐその場で両手へ導くらくらくピアノメソッドの核心

次の章では、体験会で初めて受講生の皆さまに「らくらくピアノメソッド」をお伝えする際、どのように伝えれば「本当にらくらくだ」と実感していただけるのか、その最も重要な部分についてお話しします。
ここは、まさにらくらくピアノの柱となるところです。
体験会の成否を左右すると言ってもよい、非常に大切なポイントになります。
らくらくピアノメソッドでは、「7分ですぐその場で両手」を掲げていますが、実際の説明は驚くほどシンプルです。
ピアノ指導に携わる先生方ならよくおわかりかと思いますが、たとえば《第九》のような親しみやすい曲であっても、その場ですぐに弾けるようになる、ということは通常のレッスンではなかなかありません。
一般的には、楽譜を少しずつ学び、音符を読み、段階を踏んで進めた先に、ようやく「ミミファソ ソファミレ」といったメロディにたどり着きます。そして、テキスト一冊を終えた頃に「やっと弾けるようになった」と感じる流れが多いのではないでしょうか。
しかし、らくらくピアノでは違います。
その場ですぐに、しかも両手で、さらに80歳の方でも取り組める。
そこには、長年積み重ねてきた独自の伝え方があります。
今からお伝えする言葉は、徹底して無駄をそぎ落としたものです。
同じ内容のメソッドであっても、自己流で伝えようとすると、どうしても余分な言葉が増え、結果として伝わりにくくなってしまいます。
「悪くはないけれど、何かしっくりこない」「腑に落ちない」という状態が起こりやすくなるのです。
だからこそ、まずは型をそのまま覚えていただくことが大切です。
型どおりに伝えることで、受講生の皆さまの理解が深まり、「できた」という実感につながっていきます。
体験会では、《第九》の楽譜をA3用紙で配布します。
《第九》は著作権の問題がありませんので、無料で配布していただいて構いません。
もちろん、楽譜そのものではなく、この紙を使った教え方、そして伝え方のメソッドには、らくらくピアノ協会としての権利があります。
そのうえで、認定講師を目指して学んでおられる皆さまには、受講生の皆さまへこの形でお渡しいただくことができます。
では、受講生の皆さまに実際どのようにお伝えするのか。
まずは右手、次に左手という流れで進めていきます。
ここでは、最初の「右手の伝え方」についてご紹介します。

まずは右手からお伝えする

受講生の皆さまへの声がけは、次のように行います。
「では皆さま、今日は“数字で簡単 らくらくピアノ”ということで、らくらくピアノの方法をお伝えいたしますね。
右手をお上げください。太い指から、1・2・3・4・5です。
ではご一緒に。太い指から、1・2・3・4・5。
もう一度いきますね。どうぞ。太い指から、1・2・3・4・5。これでもう弾けます。」
まず、このようにして指番号を覚えていただきます。
ここでのポイントは、最初に結論を少しテンポよく伝えることです。
「太い指から1・2・3・4・5です」と、まずは短く、明快に伝えます。
そして次に、「ではご一緒に」と声をかけ、今度はゆっくり丁寧に「1・2・3・4・5」と繰り返します。
最後にもう一度確認し、「これでもう弾けます」と明るく伝えることで、受講生の皆さまに「そうなんだ」「できそうだ」という安心感が生まれます。
この“弾けます”という言葉はとても大切です。
楽しげに、前向きに伝えることで、受講生の表情が変わってきます。

「空中指さばきの術」で脳にイメージを入れる

指番号ができたら、次は「空中指さばきの術」に入ります。
この言い方にも意味があります。
ただ「手を出してください」「動かしてください」と言うのではなく、「空中指さばきの術をします」と表現することで、受講生の脳にイメージが鮮やかに入ります。
すると、「数字でこう動かせばいいのだな」と自然に理解できるのです。
この言葉がけも、実はとても重要です。
実際には、次のように進めます。
「では皆さま、空中指さばきの術をいたします。楽譜を見ながら、右手を出して、声に出しながらいきます。楽譜をご覧くださいね。『3・3・4・5』と書いてありますので、まずは『3・3』でいきますよ。ではご一緒に。どうぞ。3・3・4・5、5・4・3・2・1、1・2・3・3・2・2……」
体験レッスンでは、1ページ目を使い、2段目、3段目、4段目へと進めていく流れで十分です。
ここでも大事なことがあります。
最初から歌にしない、ということです。
まずは「3・3・4・5」と、数字で確認する。
そして途中から、メロディを少しずつ乗せていく。
この流れがとても自然で、受講生にとって無理のない理解につながります。
また、1段目が終わったあとに「2段目です」「3段目です」と声をかけてあげることも大切です。
受講生が今どこをしているのかがわかるため、安心してついてくることができます。
この工程が、「空中指さばきの術」です。
声に出し、指を動かし、目で楽譜を追う。
この三つを同時に行うことで、音と動きのイメージがしっかり定着していきます。

イメージができたら、いよいよ鍵盤へ

空中指さばきの術ができたら、受講生の皆さまの中には、すでに音の流れと指の動きのイメージが育っています。
その状態になって初めて、鍵盤に指を下ろしていきます。
つまり、いきなり鍵盤に向かうのではなく、
まずは数字で理解し、
次に空中で指を動かし、
そのあとで鍵盤へ進む。
この順序こそが、らくらくピアノメソッドの大きな特長です。
この流れがあるからこそ、受講生の皆さまは「難しいことをしている」という感覚ではなく、「気がついたらできていた」という感覚を持つことができるのです。
そして、その体験こそが「らくらくですね」という実感につながっていきます。

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光畑浩美
専門家

光畑浩美(大人ピアノ指導の専門家)

一般社団法人全日本らくらくピアノ®協会  株式会社PREMUSE

大人のピアノ初心者向け。特許庁登録「らくらくピアノ®︎」で憧れの曲を楽しく実現。オンライン講座や認定講師養成講座を展開。著書累計17万部超、Amazonや全国書店で販売中。

光畑浩美プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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