サービス業と知的財産(1)
知的財産(知的財産権)は、スタートアップ企業にとって重要なマネジメントツールになります。
知的財産権は、例えば 特許権の場合、成立時期を境に考えると、成立前は、知的財産権の「創造期」になり、また、成立後は、知的財産権の「活用期」になります。
企業の場合、特許権等の知的財産権は、主に技術部門がかかわるものと想像すると思いますが、この認識は正しくありません。
上に述べたように、知的財産権は、「創造期」~「活用期」があり、企業にとっては幅広いセクションがかかわることになります。
特許権の成立前は、「創造期」になるため、主に「技術部門」や「企画開発部門」が関連します。
一方、特許権の成立後は、「活用期」になるため、「営業部門」や「広告宣伝部門」などが積極的にかかわりあうことになり、「技術部門」や「企画開発部門」から離れます。
前回の「スタートアップ企業と知的財産(8)」で述べたように、知的財産権のソフトウェア的な派生効果が生じることがその理由です。
つまり、知的財産権の派生効果として、例えば、「模倣品や類似品の排除を可能にする」、「信用力を得る」、「対外的なアピール効果を得る」、「新規顧客の開拓につなげる」等がありますが、ほとんどの効果は、「営業部門」や「広告宣伝部門」に関連する業務になります。
しかし、実際には、特許権が成立すると、ゴールに達した感覚になり、現実にはあまり活用されないのが実情ではないでしょうか。
知的財産権の場合、特許が取れたとして“特許証”を壁に飾っておいても何も生まれません。
特に、スタートアップ企業は、知的財産権を取得することはもちろん重要になりますが、成立後、有効に活用することも重要になり、マネジメントツールとして機能します。
新しい技術を産み出して特許権等として成立させることと、成立後に特許権等を活用してその効果を最大化することは、知的財産によるマネジメントを行う上で大きな柱となり、知的財産権の「成立」と「活用」の二つのは甲乙つけられない重要な要素となります。
見方を変えれば、最大限「活用」できる特許を成立させることが重要となり、企業やその経営者は、特許権の成立と成立後の活用を総合的にマネジメントすることがスタートアップ企業を成功に導くポイントになります。
そして、このような総合的なマネジメントをサポートするセクションが、企業における「知的財産部門」になります。