農業と知的財産(3)
今、スタートアップ企業が注目されており、国も様々な支援策を打ち出しています。
スタートアップ企業は、一言で云えば、新規事業を行う企業になりますが、少し前までは、新規事業を行う企業は、ベンチャー企業と言われていました。
スタートアップ企業とベンチャー企業の異なる点は、明確な定義はありませんが、最も大きな相違点は、ビジネスモデルの違いになろうかと思っています。
ベンチャー企業は、どちらかと言えば、時代の安定期に、例えば、大企業からスピンアウトして独立した企業を立ち上げるケースのように、ビジネスモデルの観点からはさほど目新しさを含んでないことが多いと思われます。
これに対して、スタートアップ企業は、現在の直面している時代、つまり、「時代の大転換期」に、必然的に発生します。例えば、自動車のように、エンジン自動車から電気自動車(EV)へのトレンド変化に伴って、今までにない新しいビジネスモデルを伴う企業も多く出現してきます。
しかも、スタートアップ企業は、新しいビジネスモデルゆえに、商品やサービスもゼロからのスタートになります。
さて、ここからは今回のテーマである知的財産との関係になりますが、知的財産は、スタートアップ企業にとって極めて重要なツールとして利用できます。
スタートアップ企業の場合、「社会」の中で認知されるためには「新入社員」と変わりません。
それなりに実績があり、広く知られたブランド力のある企業の場合には、社会の中で比較的容易に認めてもらうことができます。
しかし、スタートアップ企業は、実績やブランド力、いわば、信用力を持ち合わせていない場合も多いため、信用力を認めてもらうのは容易なことではありません。
そこで、この信用力に代わるものとして「特許(特許権)」があります。つまり、「特許(特許権)」は、企業にとっては、「学歴」と同じ役割を持っています。
「特許」、広くは、「知的財産権」は、他人から自分を護る武器としての機能、即ち、「保護」する機能と、他人に技術力や信用力をアピールする機能、即ち、「利用」する機能の、二つの主要機能を有しています。
したがって、スタートアップ企業は、まず、「特許」を利用する視点から企業の「信用力」を高め、その後、独自の商品やサービス等を他人に真似されないように、自社を保護しつつ、企業を成長させてほしいと思います。