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時代の転換期と知的財産…〈9〉

下田茂

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テーマ:知的財産

 最近、チャットGPT(生成AI)が、メディアなどでも大きな話題になっています。
 チャットGPTの利用については賛否があり、また、画像生成AIについては著作権(著作者)との関係で問題になっています。「AI」が勝つか「人間」が勝つかの未知とも言える新しい時代に突入してしまいました。
 勝つか負けるかは、正しい表現ではないかもしれませんが、いずれ人間の持っている能力部分、個人的には、人間の持つ「思考力(創造力,想像力)」を除く他の能力部分は、次第にAIに置き換えられるのでは思っています。
 AIに関する技術は、IoT技術やビッグデータと密接に関係します。IoT技術は人間の視覚や聴覚等の感覚系に対応するセンシング技術であり、また、AI技術は頭脳部分に対応します。さらに、ビッグデータは人間の手や足などの出力系に対応します。
 AI技術を「知的財産」の視点から見た場合、「IoT技術」や「AI技術」などはそれぞれ個別の「知的財産」として発生しますが、「ビッグデータ」もその利用方法などにより「知的財産」が発生します。さらに、これらを組み合わせたチャットGPT等のようなシステム系技術も「知的財産」が発生します。
 一方、他人の画像や文章等により創作?(組合わせ)を行うため、著作権も大きな問題となります。著作権の問題は今後の推移を見守る必要がありますが、AI技術の急速な進歩とともに、これらに関連する様々な「知的財産(知的財産権)」やそれに伴う問題の増加が予想されます。
 そして、最後に残るのは人間の頭脳部分である「思考力」、つまり「創造力」と「想像力」の部分になるであろうことは容易に予想できると思います。なお、「思考力」は、何も難しいことを考えたり、頭が良い人や勉強ができる人という意味ではありません。
 「思考力」は、一言でいえば、“問題対応能力”であり、人間にとっての生物固有の能力、つまり、「天敵から身を守り、獲物を捕獲する能力」と言ってもよいと思います。もし、このような生物固有の能力がなければ、その種はとっくに途絶えています。したがって、「思考力」は、意識することにより日常の何げない生活の中で身につきます。
 チャットGPTのような生成系のAIツールの進歩により、人間としての「思考力」が問われる時代となり、「思考力」の観点から人間の“二極化”を加速化させるのではと感じています。
 ニュースなどでは、チャットGPTによるラブレターの例が取り上げられていました。チャットGPTから出力したラブレターに対し、受け取り側には、それを見抜く「思考力」が問われます。これは何かおかしいと見抜ければ「AI」に勝ち、見抜けなければ「AI」に騙されて負けることを意味します。
 これからの「新しい時代」はAIが人間に戦いを挑む時代のように感じます。「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と言われないように、思考力をはじめ、情報収集力や注意力を今まで以上に高めなければいけないと思っています。

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下田茂
専門家

下田茂(弁理士)

みらい国際特許事務所 長野オフィス

個人から企業及び大学発明まで幅広く対応し、高い特許登録率を維持しています。持前の知財センスに基づき、特許権や商標権の取得はもちろんのこと、依頼者に満足して頂けることを第一に、広く深くアドバイスします。

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