農業と知的財産(3)
今、日本ではコロナ感染者が急激に減少しています。
一方、コロナ感染者の減少とは反対に、物価上昇が目立っています。その一因として、原油価格の上昇が背景にあると言われています。このような物価上昇は、需給バランスからくる、ある意味、自然の動きと捕らえることもできますが、今の物価上昇は、コロナ禍による特殊要因も無視できないと思っています。
つまり、コロナ禍により経済成長が低い状態で維持されていますが、政府の政策により給付金や補助金の名目で大量のお金が市場に放出され、このお金の一部が株などに投資され、経済の実体に対して株価が乖離している金融バブルとも言われています。なお、このコラムを書いている今日の株価は、前日比、-750円ほどの下落でした。
このような金融バブルは、本来、何かのきっかけで暴落するシナリオが想定されますが、もし株価が暴落することなく今の水準が維持されるとすれば、その株価との乖離を埋めるように物価が上昇することが考えられます。
素人の考えですので実際の原理はわかりませんが、例えば、リンゴが一個100円で売買されていたとき、いきなりお金が二倍に増えたとすれば、リンゴが一個200円でバランスし、物価が二倍になることを意味します。
それゆえに、今後のスタグフレーションやハイパーインフレーションの進行が心配になります。
さて、今回は、経済の話ではありません。「物価上昇」と「知的財産権」の話です。
企業やお店が物価上昇の波に襲われた場合、原材料を一括で仕入れたり商品を値上げするなどにより、その波に耐える必要があります。この結果、耐えた者は勝者となり、耐えられない者は敗者になります。
結局、この場合、価格の競争となり、勝者であっても敗者であっても消耗戦となります。そして、最後には、どちらも敗退し、コスト競争に強い中国などの他の企業に勝者が移ってしまいます。
このため、独自の「オリジナル商品」を販売し、だれもその商品と同じ商品を販売できなければ、価格の競争ステージに巻き込まれることなく、マイペースでそのオリジナル商品を販売できることになります。
そして、このオリジナル商品を含むビジネス形態を後押しするのが「特許」や「商標」等の「知的財産権」になります。
なお、オリジナル商品とは、商品の一部(部品)でも構いません。その部品のお陰で、ひじょうに便利に使用できるなどの付加価値を付けることができれば同じことです。
コロナ禍時代ゆえに、「価格」の勝負ではビジネスが疲弊してしまいます。「知的財産権」の活用は、ブランド力のある大企業ではなく、むしろ、価格の勝負では不利になる中小企業やスタートアップ企業、更には、個人起業者などにとって、より重要でメリットのある制度になります。