サービス業と知的財産(1)
今年の1月から「コロナ禍時代の知的財産」をテーマに書いてきましたが、コロナ感染者は、今、急激に減少してきました。10月23日時点の全国の感染者は、285人になっています。
我々自身のマスクや密防止、さらにワクチン等が、その効果の一因として作用しているとは思いますが、コロナ自身は、我々の行動とは関係なく、コロナ自らの意志によりマイペースで行動している印象を受けます。ある意味、自然の力は、我々の力が及ばない大きな原理で働いていると感じてしまいます。
これから寒い時期に入り、また、コロナの流行は2ケ月のサイクルで到来するとも言われ、まだまだ油断はできません。
さて、ほんとうにコロナが収束すれば、「コロナ禍時代の知的財産」のテーマは意味がなさなくなります。
そこで、この一,二年続いたコロナ禍を振り返ってみます。知的財産の分野にもそれなりに大きな影響があったように感じています。
第一に、コロナ禍ということで、コロナ感染に対する直接的或いは間接的に関連する特許出願や商標出願などが増えました。例えば、マスク関連,三密防止関連,医療関連などです。
この傾向は、“必要は発明の母”の言葉のとおり、世の中のニーズに対応する必然的な成り行きかもしれません。
第二に、コロナ禍により、経済的にも今後の不透明感が高まったため、経営戦略的にも知的財産への関心や意識が高まったように感じます。
先日、ニュースを見ていたら、ホテルのリニューアルの話題が紹介されていました。ホテルの場合、忙しい稼働時期は部屋を空けられないため、コロナで稼働率が減った時期にこそリニューアルができるということで、コロナ禍の時代にも適合する部屋や設備に改装した事例が紹介されていました。
この事例と同じような考え方を持つ経営者が増えたように思います。例えば、製造業の場合、商品の生産量が減ったから、その分、新しい商品や商品の改良を進めようとする企業の姿勢です。結果的に、それに伴った特許出願などが増えたように感じています。
まさに、上で書いたホテルのケースと同じ思想であり、“ピンチはチャンス”の言葉が生きていると思います。
本来、知的財産は、事業経営の基盤として必要であり、その重要性が外的な要因により左右されるのは本来の形ではないと思いますが、コロナ禍をきっかけとして、知的財産の重要性に向き合い、今後の事業経営に活かすことができれば、その事業経営も“ピンチはチャンス”に転換できると思います。
このようなコロナ禍による実情ゆえに、できるだけ皆さんのご希望に応えることができるように、弊所も業務の遂行を図って行きたいと思っています。