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AI時代における知財の保護と活用(1)

下田茂

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テーマ:知的財産

 最近、「AI(人工知能)」という言葉もかなり一般化し、「令和」の時代はAI時代になりそうです。
 「昭和」~「平成」の時代には、これからは「コンピュータ時代」が来るというときがありました。コンピュータ時代は、「平成」の今が全盛期でもあり、仕事(企業)の観点からは「IT化」がポイントになっています。
 いわば、企業も個人もコンピュータを如何に使いこなせるか否かによる二極化が生じています。
 AI時代でも、多くの人が言っていることではありますが、同様の二極化、更には異なる二極化の発生が考えられます。この場合、人間としての「思考(思考力)」が重要になり、「思考」が伴わないものは、次第に、AI(ロボット)に取って代わられる流れが生じると考えるのが自然です。
 なお、ここで言う「思考(思考力)」とは、難しいことを考える意味ではありません。様々な知識や情報を基にした人間としての的確な判断力、あるいは感情などに基づく振舞力であり、一言でいえば「人間力」に置き換えてもよいと思っています。
 したがって、これからは、中間層をAIが受け持ち、人間は、その両側に振り分けられることになります。この場合、一方側が優れ、他方側が劣るということではありません。つまり、縦方向(能力)の上下ではなく、あくまでも横方向(個性)における左右の意味になります。
 少し前に、新入生に対する挨拶で、この社会は頑張っても報われないこともある、という話をした先生のニュースが話題になりましたが、「令和」の時代は、本質が問われる以上、頑張れば報われ、頑張らければ報われない、という二極化が生じるイメージを持っています。
 例えば、これからは何が必要(重要)になるかなどのAIにはできない先見性を含む判断力が重要になってきますし、他方、人に対するどのような行為が喜ばれるかなどのAIには難しい人の心に根差した振舞力も重要になってきます。いわば、人間としての本質が問われる時代を予想しています。
 このため、「知的財産」の視点から見た場合、以前より、ここのコラムでも触れていますが、個々人の『知的資産』の持ち方がより重要になると思っています。
 AI時代は、個性に基づく思考力が問われる時代とも言え、「知的財産」は、今まで以上に、より広い視点を含む『知的資産』から捕らえる必要が出てきます。
 後10日ほどで「令和」の時代が始まります。これからも、多様な情報に対するセンシング技術を磨き、AIに負けないように、的確な思考に基づくインプットとアウトプットを実行し、チコちゃんに、「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と叱られないように心掛けたいと思っています。

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専門家

下田茂(弁理士)

みらい国際特許事務所 長野オフィス

個人から企業及び大学発明まで幅広く対応し、高い特許登録率を維持しています。持前の知財センスに基づき、特許権や商標権の取得はもちろんのこと、依頼者に満足して頂けることを第一に、広く深くアドバイスします。

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