知的財産に関する最近の動き
「洋服」を作る仕事は製造業になり、作られた「洋服」を販売する仕事はサービス業(小売業)になります。
このため、新しいタイプの洋服や洋服の新素材などの様々なアイデア(知的財産)は、製造業で多く発生し、サービス業ではあまり発生の余地がないのでは考える人も多いかもしれません。
最近、ZOZOタウンの前澤社長が世界初の民間月旅行客になるということがニュース等で話題になっています。
ZOZOタウンについて、恥ずかしながら、私は名前を聞いたことがあっても何をしている会社なのかよく知りませんでした。しかし、月まで行くすれば莫大なお金を必要としますから、一体どのような会社なのか興味がわきます。
同社HPによれば、ZOZOスーツ(下図)を無料で提供し、スマートホンで撮影すれば、計測したデータにより自分の体型にピッタリあったサイズの服を届けるビジネスモデルを展開しているということです。
一言でいうと、ITを取り入れたファッション通販になります。
ところで、ファッション通販といっても数多くあり、その中で急成長しているということは、ZOZOスーツのビジネスモデルが消費者のニーズや信頼に応えている証しの一つでもあります。
このように、サービス業(小売業)であっても、独自で斬新なアイデアを取り込み、消費者のニーズや信頼に応えるビジネスモデルを展開すれば、自由競争社会における優位性が保てることを示しています。
一方、自由競争社会では、「○○○が流行っている」という情報があれば、直ぐに○○○に関する商品が出てくるように、“儲かる話”があれば、直ぐに真似されるのが世の常です。ZOZOタウンのビジネスモデルが消費者に支持されているとすれば、類似のビジネスモデル、或いは改良されたビジネスモデルがいずれ登場してくることは十分に考えられます。
したがって、このZOZOタウンのビジネスモデル(知的財産)の保護はどうしているのか興味が出てきます。
ZOZOタウンは、(株)スタートトゥデイにより運営されています。この社名により検索すれば、上述したビジネスモデルに関連するビジネスモデル特許の特許出願を含め、全8件の特許出願が出てきます。審査の終了している特許出願については特許が成立しています。さらに、ZOZOを含む商標登録(商標権)も多数所有しています。
ZOZOタウンのようなビジネスモデルに出会うと、特許や商標等の知的財産権の重要性を改めて感じます。
サービス業において、独自のアイデアを取り入れ、会社(個人でも同じですが)の柱になるようなビジネスモデルを展開する場合、それを如何に保護するかは、会社そのものを守ることにも直結します。このため、会社における知的財産(知的財産権)に対する取組は、今後の成長を維持して行く上での重要な経営課題の一つになると思っています。