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地方企業を活かす知財戦略…(9)

下田茂

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テーマ:地方企業と知的財産

ヒット商品を支える知的財産権-Ⅱ

 今回は、ヒット商品と知的財産権(知的財産)がどのような関係になっているかをデータを通して見てみたいと思います。なお、掲載したデータの出典先は、いずれも中小企業庁発行2009年度版中小企業白書です。
 ところで、「ヒット商品」の言葉に関連して思い浮かぶ言葉として、アイデア,ユニークなデザインやネーミング等があります。つまり、「ヒット商品」=「知的財産」といってもよいでしょう。
 次のデータAは、“ヒット商品における知的財産権の取得状況”を示しています。ヒット商品について、中小企業の特許の取得割合は、大企業の半分程度です。また、知的財産権を何ら取得していない中小企業は、大企業の3倍以上という結果が出ています。
 中小企業は、ヒット商品が生まれても、それに対する知財対策が出遅れているといってもよいかもしれません。
  〔データA〕

 次のデータBは、“特許取得の有無とヒット商品の関係“を示しています。当然のことといえるかもしれませんが、ヒット商品を生む企業は、特許取得の数が相対的に多くなっています。
 見方を変えれば、特許取得の多い企業は、ヒット商品に恵まれてくるということもいえるかもしれません。
  〔データB〕

 さらに私が注目しているのは、次のデータCです。このデータは、“ヒット商品において知的財産権を取得したことによる効果”を示しています。
 特に50人以下の中小企業では、ヒット商品に関連した知的財産権を取得することにより、「信用力を得ることができた」,「新規顧客の開拓につながった」,「対外的なアピール効果が得られた」等の効果がより高くなっています。
 つまり、ヒット商品による売上アップという直接的な効果に加え、知的財産権の取得による様々な間接的(副次的)な効果も得られ、そして、その効果は中小企業の方が大企業よりも高くなっているという結果が出ています。
  〔データC〕

 このように、「ヒット商品+知的財産権」の考え方は、地方企業及び中小企業を成長させる観点からも重要な鍵になります。
 言い換えれば、「商品」を「ヒット商品」につなげ、さらに、「ヒット商品」を「企業の成長」につなげていくためには、「知的財産権」を如何に上手に活用していくかも重要な要素となり、特に、地方企業及び中小企業にとっては無視できない戦略の一つになると考えています。

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専門家

下田茂(弁理士)

みらい国際特許事務所 長野オフィス

個人から企業及び大学発明まで幅広く対応し、高い特許登録率を維持しています。持前の知財センスに基づき、特許権や商標権の取得はもちろんのこと、依頼者に満足して頂けることを第一に、広く深くアドバイスします。

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