中小企業にとっての知的財産権…Ⅰ
知的財産権に対する認識不足…それ自体がビジネス上のリスク
知的財産は目に見えない故に、人によってその認識に大きな差を生じます。具体的には、「知的財産権の活用なしにはビジネスを行うことができない」とその重要性を認識している人もいれば、「知的財産権は自分のビジネスに全く関係ない」と思っている人もいます。どちらが良いとか悪いとかは一概に言えないかもしれませんが、恐いのは認識不足故にリスクを併存することです。
自動車を運転する以上、事故を起こすリスクと隣り合わせのため、通常は自動車保険に入ります。一方、そのリスクに対する認識が低ければ、保険は無駄だと思い、保険には入りません。しかし、事故が起こって初めて保険の重要性に気づくことになります。
特許等の知的財産権も保険と同様です。ある日突然、自社商品における、技術,デザイン,名称等に対して、他人から権利侵害であるとの内容証明が届き、大変な痛手を被ることがあります。したがって、知的財産(知的財産権)の重要性に対する認識を高めることは、少なくともビジネス上のリスクを低減し、不安のない安定したビジネスの確保に繋がります。
また、知的財産に対する認識を高めることは、自立的な経営或いは競争力を優位にする経営に必須です。例えば、金塊を所有していれば、ほとんどの人はその価値故に頑丈な金庫に保管するなどして盗まれないようにするでしょう。逆に、その価値を認識しなければ、そのような対策はおろそかになります。もし、知的財産に対する認識が高ければ、「知財」の発掘及び創造、更には保護及び利用に価値を見いだすことができるため、その「知財」を大切にし、最終的には、経営そのものに活かすことができるようになるでしょう。
このように、知的財産権を所有する所有しないの以前に、「知的財産」に対する認識自体をより高めることは、ビジネスにとって極めて有用かつ重要なこととなります。