地方企業を活かす知財戦略…(1)
「特許と実用新案の違いは何ですか?」
質問を受ける中でもこの質問が最も多いかもしれません。そこで、二つの違いを分かり易くまとめてみたいと思います。なお、「実用新案」は、世界の中でも日本を含め数カ国しか制度として持っていませんが、日本は、多くの中小企業で成り立っており、「実用新案」はそれなりの価値ある位置付けとなっています。「特許」と「実用新案」を含む「産業財産権」の体系は次のようになっています(イラストは特許庁HPより)。
「実用新案」の今昔についてですが、「実用新案」はその昔(私が仕事を始めた頃)は、「大発明」は特許、日常のちょっとした改良等の「小発明(考案)」は実用新案という見方がありました。現在もこのような基本的な見方は変わりませんが、この見方は大きく後退し、むしろ戦略的に特許を補完するような制度に代わっています。分かりやすく言えば、
< 特許 >:免許がほしい場合、試験に合格すれば免許証を発行しますので、それで運転して下さい。
<実用新案>:免許がほしい場合、目が不自由でなく未成年でなければ直ぐに免許証を発行します。ただし、運転する場合には、運転能力があるか否かチェックしてもらい、チュック済のステッカを車に貼って乗って下さい。
というような感じでしょうか(^_^;)。
したがって、発明レベルの高い低いよりも、特許を補完する観点から戦略的に利用する人が増えています。主な相違点は次のようになっています。
< 特許 > <実用新案>
〇 内容審査の有無 有 無(形式のみ)
〇 権利の成立 遅い 早い
〇 保護期間 出願日から20年 出願日から10年
〇 保護対象 物,方法 物
〇 権利行使 特に条件なし 技術評価書提示が条件