「うちの会社にAIはまだ早い」と感じる社長へ|中小企業にAIは必要かを決める前に
仮に、「問い合わせの電話が多くて、事務の仕事が進まない。AIのチャットボットを入れたい」と考えて、見積もりを頼もうとしているとします。見積もりは取れます。ただ、1週間分の電話の中身を書き出してみると、多くが「営業時間は何時までですか」「駐車場はありますか」だった、ということもあり得ます。それなら、先に直すのはチャットボットではなく、ホームページの1行かもしれません。
結論から書きます。中小企業の業務改善を進めるなら、見積もりを取る前に、次の3つを問いかけて、「真の課題」を見つけておくことをお勧めします。
- それが入ったら、誰の、何が楽になるか
- いつから、なぜ起きているか
- 何もしなかったら、何が困るか
何を頼むかが決まるのは、その後です。
1. 「何を入れたいか」を「誰の、何が楽になるか」に言い換える
見積もりを頼むとき、「〇〇を入れたい」という形で話を始めていないでしょうか。チャットボット、予約システム、AI。どれも手段です。手段のまま見積もりを取ると、返ってくるのは手段の値段です。それで困りごとが片づくかどうかは、見積書には書いてありません。
そこで、「それが入ったら、誰の、何が楽になりますか」と言い換えてみます。チャットボットなら「電話を受ける事務の人が、作業の手を止めなくて済む」。こう書けると、比べる相手が変わります。チャットボットのほかに、留守番電話の案内を変える、よくある質問をホームページに載せる、という手も同じ並びに入ってきます。
2. 「いつから」「なぜ」で、症状と原因を分ける
電話が多い、というのは症状です。原因は別のところにあるかもしれません。いつから増えたのか。そのころ、何が変わったのか。料金を改めた、新しい商品を出した、担当が替わった。原因の見当がつけば、手を打つ場所が変わります。
「なぜ」は1回で止めず、返ってきた答えにもう一度聞きます。電話が多い、なぜ。同じ質問が多い、なぜ。ホームページに載っていない。ここまで来ると、打つ手は小さくなります。
この問いには、社長1人で答えないことをお勧めします。毎日電話を受けている人に聞くと、社長の見立てと違う答えが返ってくることもあります。困りごとがいちばんよく見えているのは、その仕事を毎日している人です。
3. 「何もしなかったら」で、急ぐかどうかを決める
3つ目は、手を打たなかったらどうなるかです。お客様を待たせて、注文を取りこぼす。残業が続いて、人が辞めてしまう。そういう答えなら、急ぎます。「少し面倒だけれど、困ってはいない」なら、今はお金をかけない、という判断もあります。
この問いは、やらない理由を見つけるためのものでもあります。見積もりは、取ると前に進めたくなるものです。取る前に、本当に今やるのかを決めておくと、あとで迷いません。
見積もりを頼むときは、3つの答えを渡す
3つの答えが出たら、1つのファイルにまとめて、見積もりを頼む相手に渡します。「チャットボットの見積もりをください」ではなく、「事務の人が、電話のたびに手を止めている。原因は、ホームページに載っていない同じ質問。このままだと、忙しい時期に電話を取りこぼす」。こう渡せば、相手はチャットボット以外の手も含めて考えられます。
以前のコラム「システムを作る前に確かめること」では、作る前に確かめることとして、何に困っているのか、いまの道具で足りないか、作ったあと誰が使い、誰が直すのか、の3つを書きました。今回の3つの問いは、その1つ目「何に困っているのか」を、もう一段深く掘るためのものです。私が最初に「何を入れるか」を考えず、仕事の中身を伺うところから始めるのも、そのためです。
まとめ
- 「何を入れたいか」を「誰の、何が楽になるか」に言い換える
- 「いつから」「なぜ」で、症状と原因を分ける。毎日その仕事をしている人にも聞く
- 「何もしなかったら」で、急ぐかどうかを決める
宮崎で相談先を探すときも、この3つの答えを1つのファイルにしておけば、どの相手とも同じところから話を始められます。


