「朗読の日」 6月17日・18日 銀座 にて開催!
◆「初めてのトップバッターを務めて」(野呂光江)
コロナ禍に入り、足踏み状態を経て再開した「ライブリーディングvol.9」は、
角田光代 原作 朗読劇『彼女のこんだて帖』
食にまつわる「連作短編集」の中から私が頂いた作品は、
4年間付き合った彼にフラれた、強気な性格の「立花協子」が主人公。
意地でも泣かない様に、自分だけの為に作る肉汁たっぷりのラムステーキがメインの献立。
肉を食して元気になり、失恋とこれからの未来をポジティブに描いた「泣きたい夜はラム」
小説の1番始めのお話で、舞台の出番も最初と仰せつかり、
ステージ・アップの舞台出演の中で、初めての「トップバッター」となりました。
今回は、8人で紡いで行く連作の物語の世界へいざなう重要な入り口です。
それ故に、お話を頂いた時から本番を終えるまで、正直プレッシャーを切り離せない日々でした。
しかもその第一声「『日曜の夜は肉だろう』に、全てがかかっている」。
初回のレッスンから前日のリハーサルまで、ずっと長野先生に言われ続けて来た言葉です。
しかしそれがなかなか思う様に定まらず『出せた』と思えたのは、実は本番が初めてでした。
それは聴いて・観て下さるお客様が目の前に居て下さったからこそ生まれた臨場感。
長野先生がいつも仰る
『自分達が朗読会をやりたいと思っても、来て下さるお客様が居なければ成り立たない!』
これを私なりに肌で感じた体験でした。
食のシーンは要だったので、イメージを明確にする為に、本に載っていたレシピを参考に
この料理を本番を迎えるまでの間に、5〜6回作ってみました。
ラム肉はあまり好きではなかったので、ラムを豚スペアリブに代えてみたりもしたのですが、
食べ比べてみて気付いたのは、オリーブオイルとオレガノの味には、ラムの方が合うという事。
そして最終的にはラム肉が好きになっていました。発見です。
朗読会の後「食べたくなった」と言って下さった方がいて、手間をかけて良かったと思いました。
落ち込みから立ち上がる姿勢等、協子の性格は自分とは反対で、それを表す難しさもありました。
しかし仕上げていく過程で、自分軸をしっかり持つ協子から
《自分を丁寧に、大事にすること》が学べました。
毎日の食事1つ取っても、家族を優先にし過ぎて、自分は洗い物を減らす為に、
調理段階で使った箸や味見皿で、形の悪くなったおかず等を食べたりしていたので、
これは、いろんな意味で日常生活の中でも最近何度もきていたメッセージだったのですが、
”もっと自分を丁寧に扱わねば” と思いました。
自分のご機嫌を自分で取れた協子は『恋の後の五目ちらし』では脇役として登場し、
「魚久さんのお魚を一緒に食べられそうな人が出来ました」と未来がちゃんと拓けていました。
良いなぁ羨ましい‥‥‥。なんて、既婚者として問題発言ですが(笑)
初めての『トップバッター』を務めてみて、
自転車から補助輪を外す練習をしていた、幼少期の自分を思い出しました。
少し離れた真っ正面に長野先生が両手を広げドンと構えて見守って下さる心強さの中、
レッスンの前後でよくご一緒した堀さん始め他の出演者の皆さんや、
舞台監督の戸石みつるさんにもアドバイスを頂きました。
又、照明の松崎太郎さん、音響の濱田一郎さん、影台詞をして下さった鈴木大典さん、
米山陸さんには、気持ちを整えられる様なお声がけを頂きました。
最後の台詞を言って袖にハケた時、控えていた小笠原清子さんがしっかりと抱き止めて
「良かったよ〜!」と言って下さいました。その温もりが温かくて...。
長野先生と皆さんに自転車の荷台をしっかりと押さえて頂きながら、午前と午後の部の本番2回を、
グラつきながらも最後はスーー…っと走り抜く事が出来たかなと思っています。
出番はたった1人でも、連作で皆と繋がっている連帯感、安心感がありました。
“丁寧に、大事に”と言えば、打ち上げの席で長野先生から、
出演料やプレゼントに加え一人一人にしたためたお手紙を頂戴しました。
当日の朝に先生が私達の体調を気遣って下さるので、
先生の前夜の睡眠時間をお聞きしたら「2時間」とのこと。
もしや......。
そうです、この手紙を真夜中まで書いて下さっていたのです。
少しも乱れずに一文字一文字丁寧に書かれた美しい文字。“字は心の表れ”。
『心を込める』という事をまさに体現なさっている長野先生に、頭が下がる思いです。
それは私達にばかりではなく勿論、ご予約下さった段階で、そしてご来場下さった当日と、
お客様に心を込めてお声をかけていらっしゃる事が、長野先生の確かなプロデュース力に加え、
大勢のリピーターのお客様のご来場へと繋がっているのだと思います。
今回私がお誘いして来て下さったお客様、そしてアンケートの中には、
朗読会自体が初めてという方も沢山いらっしゃいました。
そういった方々にも「感動を有難う!こんな素敵な世界があったとは。又来ます!」と
感想を頂けた事が醍醐味で、朗読を続けて来て良かった、
これからも歩みを止めずに行こう!と思えました。
午前と午後の両方のアンケート全てに目を通し、こんなに大勢の方にお越し頂いた中で、
否定的なご意見が何一つ無く、そのどれもが「温かい気持ちになりました」
「涙が出ました」という嬉しいメッセージばかりで、
この作品に関われた事、その様な感想を沢山寄せて頂ける様な、
長野先生のご指導を頂けた事を、とても誇りに思いました。
季節が冬、春、夏へと移行する稽古期間中に、
コロナが猛威を奮う中で迎えた次女の受験もありました。
別な不安も抱えながら正直タイトな状況でもありましたが、
無事第一志望校に合格出来ました。
家庭の事が少し落ち着いた今、これからは自分ファーストで、
生きていきたいと考える様になったのも、この作品との出遭いのお陰です。
忘れられないステージになりました。
豊かな経験をもたらして下さった長野先生、コロナ禍にお越し下さったお客様、
関わった全ての皆さんに最後は、やはり感謝で締め括りたいです。
次回は、“更に一回り大きくなった野呂光江“で、お目にかかりたいです。
本当に有難うございました。 (野呂光江)
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