「お身体をお厭いください」 相手を思い遣る 大和言葉
作ってくれた人の思いも 「余さずいただく」
昭和ひと桁生まれの父は、食べ物を決して粗末にしない人でした。
戦時中の食糧不足を経験したせいもあるのか、
お弁当を食べる時も、いつも蓋に着いたお米から先に食べていました。
私は、父のそんな姿がなんだかいじましくて 「そんなの食べなくても」 といって、
父からきつく叱られたことを、今でも思い出します。
父は言いました。
「米粒ひとつ無駄にしてはいけない。 作ってくれた人の思いも余さずいただくこと」
「余さず」 は 「余すことなく」 から来た 「大和言葉」
「余さず」 は 「余すことなく」 から来た 「大和言葉」 で、
残してはもったいないと感じるものに対して使われることが多く、特に 「食べ物」 に多く使われます。
今の言葉で言うと 「完食」 にあたります。
現代は 「飽食の時代」
現代はまさしく 「飽食の時代」 日本国内における年間の食品廃棄量は、
食料消費全体の2割にあたる約1,800万トンと言われています。
このうち、売れ残りや期限切れの食品・食べ残しなど、本来食べられたはずの、
いわゆる 「食品ロス」 は、500万トン~800万トンとされています。
これは、我が国におけるお米の年間収穫量 (約850万トン) に匹敵し、
世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食料援助量 (年間約390万トン) を大きく上回る量なのです。
「もったいない」 の精神を大切に
この頃では、食べきれなかったものを、頼めばパックに詰めてくれるお店もありますが、
父と同い年の母は、バッグの中に小さな 「タッパア」 をいつも入れています。
出先で食事をして食べきれなかった時、それに入れて持ち帰るのです。
そして、家に帰ってから余さずいただきます。
(もちろん、生ものなど痛みやすいものや夏場など物が痛みやすい時期は、持ち帰りません。)
父と母の 「もったいない」 の精神は、見習いたいと思います。
「食べ物を大事にする」 気持ちを込めた大和言葉 「余さずいただく」
日本人が昔から育んできた精神として 「言葉」 だけでなく 「行動」 も一緒に身に付けたいものですね!
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