「お日和」 心が柔らかくなる 「大和言葉」

長野淳子

長野淳子

テーマ:大和言葉

「お日和」

披露宴の開宴の辞で、私はよくこの言葉を使います。
「穏やかなお日和に恵まれました 今日の佳き日に~」

この 「日和」 という言葉も、すてきな 「大和言葉」 です。

「日和」 は 「天気」 や 「天候」 と同じ意味ですが、
「天気」 が 「天気予報」 や 「天気図」 といった 科学的で少々硬い響きなのに対して、
「日和」 は、今も昔も 「陽ざしの柔らかさ」 や 「ほどよい気温」 を感じさせる、優しい響きがあります。

頂いたお手紙の中に 「穏やかなお日和が続いています」 というような一文を見つけると
なんだかとても気持ちが和みます。

また 「日和」 には、「洗濯日和」 「おでかけ日和」 「海水浴日和」 のように
「何かを行うのにちょうどいい天気」 という意味もあります。

ちなみに、「小春日和」 は 「まるで春先を感じさせるような暖かい冬の日」 に使う言葉なので、
春先に使うのは、間違いです。


「お日柄」

「本日はお日柄もよく~」

この言葉も、披露宴などのおめでたい席でよく使われます。
「お日柄」 とは 「その日の吉凶」 を表すことばで、「縁起の良し悪し」 のことです。

ですから、何をするのにも縁起がいいとされる 「大安」 に結婚式を挙げたら、
まさに 「本日はお日柄もよく~」 となるわけです。

その日の 「吉凶」 を見るものに、 『六曜(六輝)』 があります。
『六曜』 は 【先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口】 の六種類。

もともとは中国に起こったものが、室町時代に日本に伝わり独自に変化し、
明治時代に入って新暦になると、カレンダーの暦注に書かれるようになり、
広まっていったと言われています。

迷信・俗信として、気にしない人もいるようですが、それでも験を担いで
「大安吉日」 に宝くじを買いに行ったり、結婚式の日取りの目安にされることもあります。
普段は気にしていなくても、何か特別のことがある日には、縁起をかつぐ人が多いのかもしれません。


「心が柔らかくなる」 大和言葉・・・「お日和」
「その日の吉兆」 を言う・・・「お日柄」

いずれも、日本人が昔から育んできた、奥行きのある表現として、身に付けたいものですね!



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