「ねんきん定期便」を活用しよう!【4】国民年金部分の遺族保障を知る!

伊藤俊輔

伊藤俊輔

テーマ:ねんきん


 前回からなんと4週間も経ってしまいました。大変失礼しました。

 <参照>
 「ねんきん定期便」を活用しよう!【1】はじめに。
  http://mbp-japan.com/kyoto/money-2nd/column/3653/
 「ねんきん定期便」を活用しよう!【2】何のための年金か ~人生は長い~
  http://mbp-japan.com/kyoto/money-2nd/column/3751/
 「ねんきん定期便」を活用しよう!【3】備えるべきは”今”よりも”将来”!?
  http://mbp-japan.com/kyoto/money-2nd/column/3754/

 ねんきん定期便を活用するシリーズ。
 まずはじめに、死亡したときに遺族のための保障となる”遺族が受け取る年金”を
 取り上げます。


 ご近所に高齢で1人暮らしのおばあさんはおられませんか??
 こういった方々はご自身の年金だけでなく、ご主人が亡くなられたことで発生する
 遺族年金を受け取っておられるケースが多いです。

 若くしてご主人を亡くされたケースを取り上げたブログ記事が別途ありますので
 ご覧いただければ幸いです。
 <参照>
 ”お金にもセカンドオピニオンを”の生まれたエピソード
  http://kyogokudemachifp.blog14.fc2.com/blog-entry-672.html
----------------------------------

 では具体的に解説していきます。

 死亡したときに遺族のための保障となる”遺族が受け取る年金”には
 大きく分けて2種類があります。

 国民年金部分の遺族保障と厚生年金部分の遺族保障です。
 それぞれ考え方が異なります。
 まず1つめ、国民年金部分の遺族保障について解説します。

 これは”養育費”のイメージを持っていただくのがわかりやすいと思います。

  (具体的な説明は省略しますが、厚生年金に加入していれば
   国民年金にも加入していることになっていますので、厚生年金に
   加入している人も国民年金部分の解説も対象となります。)

 養育費ということで、子どもが高校を卒業する(18歳の3月末日)までの
 期間が対象です。


 ベースとなるのは、子のある妻に対して年間78万8900円。
 子ども1人あたり+年間22万7000円、
 3人目以降は+年間7万5600円が加わります。
 
 具体的に見てみましょう。

 夫婦と子ども1人のケースで、夫が亡くなった場合。
  子どもが高校を卒業するまでの間、国民年金部分の遺族保障として
  年間1,015,900円(月あたり約8.5万円)が遺族年金として国から給付されます。

 夫婦と子ども2人のケースで、夫が亡くなった場合。
  1人目の子どもが高校を卒業するまでの間、国民年金部分の遺族保障として
  年間1,242,900円(月あたり約10.4万円)、
  1人目の子どもが高校を卒業し、2人目の子どもが高校を卒業するまでの間
  年間1,015,900円(月あたり約8.5万円)が遺族年金として国から給付されます。

 夫婦と子ども3人のケースで、夫が亡くなった場合。
  1人目の子どもが高校を卒業するまでの間、国民年金部分の遺族保障として
  年間1,318,500円(月あたり約11万円)、
  1人目の子どもが高校を卒業し、2人目の子どもが高校を卒業するまでの間
  年間1,242,900円(月あたり約10.4万円)、
  2人目の子どもが高校を卒業し、3人目の子どもが高校を卒業するまでの間
  年間1,015,900円(月あたり約8.5万円)が遺族年金として国から給付されます。


 多いでしょうか、少ないでしょうか。受け取り方はさまざまだと思います。
 この額だけでは生活していくのは難しいでしょう。
 でも、あくまでも”養育費”のイメージです。
 遺族年金の仕組みをご存じない人がほとんどですから、
 その存在を知っていただくだけで、とても驚かれるケースが多いです。

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 ただし、受け取るためには条件があります。
 次のいずれかに該当している必要があります。

 ①20歳から亡くなられた月の前々月までの期間のうち、
  国民年金を納めているもしくは免除している期間が3分の2以上ある。

 ②亡くなられた月の前々月までの直近1年間は漏れなく
  国民年金を納めているもしくは免除している。
  ※ 現在の法令では2016(H28)年3月31日までの特例です。

 反対に書けば、まったく納めず免除も受けず、いわゆる未納期間の多い人でも
 取り急ぎ直近1年間納めることができていれば、遺族保障の対象になるということです。


 ①②いずれかに該当していれば、納めたり免除したりした期間の長短や割合に関係なく
 先ほど書きました金額が定額で、遺族に対して出てきます。

 このあたりの記録を「ねんきん定期便」で確認いただくこともできますが、
 加入の有無は実感としてすぐに把握していただけるケースがほとんどだと思います。


 厚生年金や共済年金でお勤めの場合には、納付が漏れているなんてことは
 ほぼ考えられませんので、何も気にする必要はありません。

 気をつけていただきたいのは、自営業者さんや職を転々とされている方々や
 無職の方々、そして学生結婚等で若くしてお子さんを授かった方々です。


 今回取り上げました国民年金部分の遺族保障のことを「遺族基礎年金」といいます。
 いわゆる夫が死亡したときのみの保障です。

 最近は共働きの世帯が増え、妻の収入が家計においてたいせつな割合を占めるように
 なってきました。
 また、専業主夫という言葉もあるとおり、妻が家族の収入を支えているケースも
 増えてきましたが、そういったケースで妻が亡くなっても今回の遺族基礎年金を
 夫が受け取ることは決してできませんし、公的年金の遺族保障が出てくるケースは
 ほとんどありません。

  (夫と死別または離別した母子家庭において、母が亡くなってしまった際には、
   子どもは遺族基礎年金を受け取ることができますが、このコラムでは
   詳細を省略させていただきます。申し訳ありません。)


 時代錯誤な仕組みだと思いますが、現在の政治家さんや官僚さんのほとんどは
 そういったケースを想像しにくい状況にあるのではないかと感じます。
 いずれ変わっていく仕組みなんだと信じています。

 次回は、厚生年金部分の遺族保障「遺族厚生年金」を解説します。


 <注記>
 年金に関する具体的な金額は2011年度のものを取り上げています。
 物価の変動等に応じて年金額は調整されますので、ご注意ください。
 なお、調整は余程のことがない限りコンマ数%の範囲ですので、
 現在のところ突然に何割も変わるようなことは考えられません。

 また、コラムでは代表的な例しか取り上げることができません。
 気になることや確認したいことは、所轄の年金事務所へお問い合わせください。
 記録や給付に関する正確な情報は、間違いなく年金事務所で確認できます。

 よりよい受け取り方や付随する情報等を希望されるようでしたら、
 お近くのFPや社会保険労務士さんをお尋ねください。
 その際には、私も含め相談に関しては有料が多いと思いますので
 ご留意のうえ、ご活用くださいませ。
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 ご意見・お問い合わせはこちらから。
  https://mbp-japan.com/kyoto/money-2nd/inquiry/personal/

 日々をつづった日報はブログにて。【2009年9月より毎日更新中】
  http://kyogokudemachifp.blog14.fc2.com/

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 http://money-2nd.com

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伊藤俊輔(ファイナンシャルプランナー)

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伊藤俊輔プロは京都新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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