最高裁判例紹介~「自身が吐いた物の誤嚥(ごえん)による死亡も傷害保険の死亡保険金の支払い対象」~
コラムで2回「18歳で成人」となった場合の問題点を書いてきましたが,「18歳で成人」とした場合の問題点には,現在までにも色々と検討がされていて,例外的に,従来の成人年齢である「20歳での区切り」を維持しようとしているものがあります。
以下,いくつか紹介します。
1 飲酒とタバコ
もちろん,若者に対する健康に対する配慮があります。
また,考えてみれば,18歳になっていれば,高校生でも飲酒もできるし,喫煙もできるのでは困ると思います。
そこで,これは,20歳未満は禁止とされるようです。
2 公営ギャンブル(競馬・競輪等)
「18歳成人」が予定されている2022年になると,認可されたカジノもできている可能性もありますが,ギャンブルの害は説明する必要もありません。
ですので,これも従来と同様,20歳未満は禁止となるようです。
3 児童福祉関係での取り扱いの一部
現在「児童」の定義は,「18歳未満」であるという法律がほとんどです。
よって,成人年齢が「20歳」から「18歳」となると,逆に「未成年」=「児童」となるので,わかりやすいと言えば,わかりやすくなります。
ただ,福祉の観点から,18歳や19歳の「児童」ではない未成年者に対する配慮は現在も行われていて,具体的には,「児童養護施設へ入所できる期限は18歳ではなく20歳まで」であったり,「特定疾病の医療費の支給対象には18,19歳も含む」等の措置がされています。
これらの処置は,成人年齢が引き下げとなっても維持される見込みということです。
4 消費者契約法での配慮
第1回でも紹介しましたが,今は,18歳及び19歳の「未成年者」は親の取消権により保護されていて,不当な契約が結ばされたりした場合は,親が取消することが可能です。
しかし,成人年齢が引き下げとなると,親の取消権がなくなることは,すでにご説明したとおりです。
そうなると,18歳及び19歳の若者の消費者被害が拡大する可能性が高まります。
それらを踏まえて,消費者契約法を改正し,18歳及び19歳の若者等を保護するための手当が検討されているようです。
他にも,今後もこのような例外的な措置が増えたりする可能性はあります。
とすれば,第2回でご紹介した「養育費」の問題も例外となり得るのかを検討してもよいと思います。