交通事故で見落としがちな後遺障害~「高次脳機能障害」~

笠中晴司

笠中晴司

テーマ:交通事故 実際の例など

交通事故により発生する後遺障害のひとつに,「高次脳機能障害」というものがあります。

「高次脳機能障害」という言葉自体,なじみがないものと思いますが,簡単に言うと,
「交通事故等で,頭部にダメージを受け,脳の器質変化が生じたことにより,脳の機能が低下すること」です。

この後遺障害が見落とされがちなことの理由のひとつは,この障害に対する一般の方の認知度が低いということがあると思います。

そして,それ以上に,他の後遺障害と比べて,ご本人が,「障害が発生している」ということに気づかれないことがあると思います。

つまり,「脳の機能低下」と簡単に言っていますが,記憶力の低下等,年齢的な脳の衰えにもある症状との区別はなかなか難しいものもあります。

また,厄介なことには,高次脳機能障害の中でも,失語(言葉を失う)等があったりすれば,明確に障害を意識できると思いますが,それほど大きな障害でない場合は,通常の日常生活にはあまり不自由を感じない場合もあります。

さらに,交通事故で頭部を打ったりして,脳に損傷があった場合,生命の危機に関わることが多いと思います。
そのような場合には,生命の危機から脱した状態になると,「やれやれ」という安心感から,次の脳機能の回復ということにあまり注意が向かないということもありえます。

さらに言うと,この傾向は,一般の医師の間にもあるような気さえします。

つまり,医師の中でも,脳に損傷があった場合は,生命の維持に重きを置いて当初は非常に熱心に処置をしてくれますが,その後,その処置が実り意識が回復したりして,生命の危機から脱した場合は,その後のケアが少し疎かになっていると感じられる例があるような気がします。

以上のように,見落とされがちな「高次脳機能障害」ですが,きちんと診断を受け,きちんとした診断書(できれば,高次脳機能障害に精通した病院のものが良い)があれば,自賠責保険で後遺障害と認定される可能性はかなりあるかと思います。

特に,事故後,意識障害の時期があった方は,「高次脳機能障害」がある可能性もありえますので,一度,弁護士等にご相談されることをお勧めします。

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笠中晴司
専門家

笠中晴司(弁護士)

丹波橋法律事務所

大学卒業後,民間企業(地元銀行)で10年間勤務。その後,志をもって弁護士を目指し,弁護士になってから丸17年の経験を積みました。経験に基づく,バランス感覚は,他の弁護士より優れていると自負しています。

笠中晴司プロは京都新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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