自転車事故における未成年者の責任,親の責任(1)
過去のコラムで何回も書いているかもしれませんが,交通事故の損害賠償で大きな部分を占めるのは,慰謝料と逸失利益です(なお,さらに大きな障害が残り,一生介護が必要な状態となった場合は,介護に要する費用が莫大になり,もっとも大きな部分を占める場合はあります)。
慰謝料は,怪我の治療に対する慰謝料と後遺障害(後遺症と後遺障害の違いは過去のコラムにあります)が残った場合の後遺障害に対する慰謝料と分かれます。
逸失利益は,原則として,後遺障害が認定された場合にのみ認められます。
つまり,事故による後遺障害が残ったことにより,今後得られるべきであったにもかかわらず,失われた利益を補てんするものです。
ここまで書いてピンときた方は少ないかもしれませんが,交通事故で怪我をされた場合,怪我の治療に対する慰謝料の問題はすべての方に発生します。
そして,後遺障害が残った方に限定して,後遺障害の慰謝料と逸失利益の問題が発生するのです。
では,弁護士に依頼した場合,何が変わるのか。
まず慰謝料は,怪我の治療に対する慰謝料が,加害者側の保険会社が最初に提示する基準額(会社により基準額は異なりますが,おおむね,自賠責保険の基準か,それより少し上くらいのものです)より,アップします。
これは,保険会社が提示する基準額が,裁判などにより認められる金額より,あまりに低いからで,ある意味当然のことです。
そういう意味で,弁護士的には,あまり労を要さず,慰謝料の増額は獲得できるものと言えます。
次に,より大きな部分を占める場合が多い後遺障害による損害の部分ですが,すでに認定されている後遺障害の等級を前提にするのであれば,最初に保険会社から提示された慰謝料や逸失利益などの増額も,弁護士であれば,それほど労を要せずにできることです。
しかし,一度出た後遺障害の等級が満足いくものでなく,その等級の上積みをしようとすると,それは途端にハードルが高くなります。
正直なところ,弁護士でも,なかなか難しいミッションとなります。
だからこそ,その難しいミッションをクリアすることこそ,弁護士の力の見せどころとなるのです。