交通事故解決までの道のり~物損編(4)~

笠中晴司

笠中晴司

テーマ:交通事故 実際の例など

前回までで交通事故を解決するまでの基本的な考え方を説明しました。

ついでは,具体的な手順につき,説明していきます。

1 相手に任意保険会社がある場合

物損編(1)に記載したとおり,事故後,警察を呼んでも,物損のみで怪我がない場合,警察は,簡単な確認(当事者の確認程度)をするだけで,「どちらが悪い」とか,「過失割合がいくらとか」というところには,原則で立ち入りません(警察は,その理由として「民事不介入」ということを言うことがあります)。

警察は,「あとは,それぞれ当事者同士詩で話をして,解決してください。」と言って立ち去るのみです。

ですので,それからは,各当事者が物損の解決に向けて,話し合いを開始することになります。

それぞれの当事者に任意保険の契約がある場合,当事者が依頼すれば,任意保険会社の担当者が「示談代行」と言って,当事者の代わりに交渉の窓口に立ってくれますが,それは,あくまで,自身の過失があり,自身の支払いが発生する場合です。
つまり,「自分に過失がない」と主張する場合は,自分の任意保険会社は示談代行(示談代行は,あくまで,任意保険会社が契約者に代わって損害賠償をすることを想定して,示談交渉の代行をするものですので,相手に対する請求部分は関係がないというのが原則的な考え方です)はしてくれないケースが多いです。

よって,「自分に過失はないから,相手に損害賠償請求をするだけ」と主張する場合は,当事者が相手方保険会社と直接やりとりをすることになります。

私のトップページやこれまでの「交通事故解決までの道のり」にも記載しましたが,交通事故は専門用語が飛び交い,考え方も慣れないと難しいものです。

それを,「示談代行のプロ」である任意保険会社の担当者と直接やりとりをすることになるのです。

当然,「示談代行のプロ」は,自身の契約者である相手の話のほうを重視し,こちらの言い分をなかなか聞いてもらえません。

ひどい時は,まず事故についての一言の謝罪もなしに,「あなたの過失はこの点で,それは裁判では,〇割と評価されますから,この金額しか支払えません。」とか,「あなたにも過失があると判断されますから,代車は出せません」とか,しゃくし定規な事務的な対応がされることがあります。

そんな態度をとれば,相手の言っていることに一理がある場合であっても,話し合いが進むはずがありません。

では,任意保険会社と話し合いが進まないと判断した場合は,次はどのような方法があるのでしょうか。

次回以降,様々な方法を紹介していきます。


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笠中晴司
専門家

笠中晴司(弁護士)

丹波橋法律事務所

大学卒業後,民間企業(地元銀行)で10年間勤務。その後,志をもって弁護士を目指し,弁護士になってから丸17年の経験を積みました。経験に基づく,バランス感覚は,他の弁護士より優れていると自負しています。

笠中晴司プロは京都新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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