交通事故 解決までの道のり~物損編(2)+α~

笠中晴司

笠中晴司

テーマ:交通事故 実際の例など

1 損害額の確定でもめるポイント

 損害額の確定で長文を読んでいただき,ありがとうございます。

 「では,具体的には,何が問題となることが多いの?」

という実態に興味をもたれるかと思います。

 あくまで,私のところに来る相談の数を印象で述べるだけですが,
 
①修理費の額については,相手に保険会社がついている場合,先に保険会社が修理工場と協定(修理費の金額につき,交渉して,修理工場と保険会社の間で合意すること)が成立していることが多く,あまり争いにならない。

② 多くの場合は,車の価値自体の争いが大きい。

③ 代車費用ももめるケースも多い。

です。

 つまり,②の点,車の価値は,「保険会社が提示する金額は低い」,一方,「被害者の思う金額は高い」,そこで調整がつかないということです。

 この点は,前回の説明でご理解いただけるように,「経済的全損であるのか否か」,「評価損(格落ち)が発生するかどうか,発生するとしていくらか」に関わってきます。

 つまり,「車の価値が高くなれば,経済的全損でないので,それ相応の修理費を支払え」という主張になります。

 また,「車の価値は高いので,それなりの評価損(格落ち)が発生するはずだ」という主張になります。

 一方,代車費用については,「保険会社はそもそもなかなか代車費用を損害として認めてくれません。」

 また,期間も,前回で記載した,「修理の場合2週間程度が上限でそれ以上は認めてくれません。」

 この点は,被害者の方の,「自分は,被害者なのに」,「加害者が過失割合等でもめさせて,修理が遅れたのだから,その期間の代車費用も持ってほしい」という思いとかなり乖離があります。

 ただ,裁判になると,前回も述べたように,「被害者であっても,損害は最小限にするべき」という考えにより,「交渉が進まないことで,修理が長くかかったから,その分の代車費用を支払う」ということにはならないことがほとんどですので,その点は,被害者の方も気をつけてください。

 ここだけ見ても,被害者の方が,「自分が被害者なのに,不当に扱われている」という気持ちを持たれることは十分に理解できます。

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笠中晴司
専門家

笠中晴司(弁護士)

丹波橋法律事務所

大学卒業後,民間企業(地元銀行)で10年間勤務。その後,志をもって弁護士を目指し,弁護士になってから丸17年の経験を積みました。経験に基づく,バランス感覚は,他の弁護士より優れていると自負しています。

笠中晴司プロは京都新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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