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拾井央雄(ひろいおうゆう) / 弁護士

京都北山特許法律事務所

コラム

【不正競争】平成30年法改正:(1)

2019年3月6日 公開 / 2021年6月8日更新

テーマ:法律アップデート

コラムカテゴリ:法律関連


2018年5月に成立した改正不正競争防止法が、平成31年7月1日に施行されます。
今回の改正では、取引等によって提供されるデータに関して「限定提供データ」を定義し、これの不正取得等を不正競争として規定しました。

平成30年不正競争防止法改正について

企業内で秘密に管理されているデータについては、これまでも「営業秘密」として保護の対象とされていました。

しかし、第三者に提供されるデータは秘密管理性の要件を満たさないため、「営業秘密」として保護されることはありませんでした。
その一方、IoT、AI等の進展に伴い、データによって高い付加価値が生み出されるようになってきています。

そこで、新たに「限定提供データ」を定義して、その不正取得等を不正競争として規定することにより、データへ投資した対価を適正に回収できる環境を整備することにしたのが今回の法改正です。

技術・ITに関連する企業にとって知っておくべき法改正と言えます。

改正部分の概要

「限定提供データ」の定義

今回の法改正では、まず「限定提供データ」の定義が置かれています。
簡単に言うと、相手方を限定して提供されるデータで、蓄積により保護に値する付加価値を有するもの、というようなことになります。

不正競争行為の類型

その上で、この限定提供データに関する不正競争行為が規定されています。
不正競争行為の類型としては、
・ 不正取得類型
・ 著しい信義則違反類型
・ 転得類型
の3つが規定されています。

不正取得類型には、限定提供データを盗み出したり、盗み出した限定提供データを使用したりする行為が該当します。

著しい信義則違反類型には、第三者に開示することを禁止する契約に基づいて限定提供データを取得したのに、これを第三者に開示して利益を得ようとするような場合が該当します。

転得類型には、不正取得された限定提供データであることを知りながら、これを開示したりするような行為が該当します。
ただ、取得時には不正取得されたデータであることを知らずに対価を支払ったのに、後にこれを知ることになった場合にまでデータを開示できないとなると、取引の安全を害することになります。
そこで、このような場合のために一定の適用除外規定が設けられています。

今回のまとめ

概要は以上のとおりですが、まずは「限定提供データ」の定義を理解しておくことが重要です。不正競争行為の類型については、こんな場合はどうなのかなと思ったときにガイドライン(*)を参照するという方法でも十分かと思います。

(*)「限定提供データに関する指針」経済産業省2019.01.23

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