第3回 高ストレス者が出たら
集団分析を使うにあたって、注意すべきことがあります。
上司の評価にしない
マネジメント能力の評価に集団分析を使おうと考えるかもしれません。部署ごとのランキングをつけて、競わせることも。しかし、それをすると、上司が従業員たちに、いい評価につながる回答するよう圧力をかけてしまう可能性があります。また、従業員が忖度して、正直な回答を避けるようになるかもしれません。そうなると、正確な検査ができなくなります。上司の評価には使わないようにしましょう。
数字を「現場の実感」と照らし合わせる
職業性ストレス簡易調査票は、標準的に用いられている調査票であり、一定の信頼性・妥当性が確認されています。とはいえ、検査全般にいえることですが、限界があります。検査を作った人と現場とで、ストレスに対する考え方やイメージが違います。すると、現場でストレスと考えているものを検査しないことになります。それで、個人や組織の実感と違うことがあります。もちろん、どちらが正しいではなくて、どちらも正しいです。検査と実感が違うからと言って検査を否定するのではなく、実感も検査も、あくまでも個人や組織の一側面を測っているに過ぎないことを忘れず、現場の実感と検査結果両方合わせて集団分析であると考えましょう。
小規模の集団では個人の特定に注意する
集団分析をすると、どうしても、この回答をしたのは誰かと気になるものです。でも、ストレスチェックは高度な個人情報にかかわるもので、個人の特定をすることはご法度です。個人が特定されたら、次に正直な回答をしてくれなくなります。
とはいえ、特に小さな集団では、個人が特定できてしまうことがあります。対策としては、個人が特定できたとしても、それを人事評価につなげたり、個人に対して質問等をしたりしないことです。あくまでも集団全体を見る視点をなくさないようにしましょう。目安として、10人未満の集団で分析結果を扱う場合は、個人が特定されるおそれが高くなるため、特に慎重な対応が必要です。
小さなことからコツコツと
集団改善は、上司の一刀両断でできるものではありません。職場は人の集まりです。機械の集まりではありません。できることから少しずつやるようにしましょう。集団内で合意をえながら丁寧にやることが大切です。
原因を押し付けない
そもそもストレスチェックは、どこに(誰に)原因があるかを調べるようにはできていません。ただ、どんなストレスがかかっているかがわかるだけです。誰かに原因を押し付けることは絶対にしないでください。特に、ストレスの原因は上司だとして、上司に押し付けてしてしまうことがあります。でも、じゃあ上司に押し付けて、何の改善につながるでしょうか。集団の問題は集団で解決するしかありません。
集団分析は、名刀のようなものです。うまく使ったら、すばらしい切れ味です。しかし、うまく使えなければ不必要に傷つけてしまうかもしれません。もし不安があれば、専門家に相談することも考えましょう。


