個人事業者の家事供用資産の消費税の取扱い
生命保険と損害保険の満期保険金の取扱いをめぐり一部で“勘違い”が絶えません。これは、同じ「保険金」であるにもかかわらず、税務上の取扱いが微妙に異なるためです。
店舗にかけた長期損害保険で満期返戻金が支払われた場合、その収入金額を事業所得の収入金額に含めて計算するケースがありますが、これは、生命保険契約にもとづく一時金の取扱いに引きずられているミスです。
生命保険契約や損害保険契約にもとづく一時金や満期返戻金については、基本的に「一時所得」扱い(所得税基本通達34-1)。しかし、生命保険の一時金については、「業務に関して受けるもの」に限り、一時所得から除かれています。たとえば、個人事業者が使用人の退職金原資確保のため、自己を契約者および保険金受取人、使用人を被保険者として契約した生命保険契約に基づいて支払われる満期保険金については、一時所得ではなく「事業所得」扱いとなります。
このため、損害保険契約にもとづく満期返戻金についても、事業に関連する保険契約であれば「事業所得に該当するのでは」と捉えるミスが多発しているわけです。しかし、これは間違い。損害保険契約の満期返戻金については、たとえそれが事業に関連するものであっても「一時所得」として取り扱われています。
ここで気になるのが、支払保険料に関する税務処理との整合性です。たとえば、店舗を対象とした損害保険で、支払保険料について事業所得計算上、積立保険料として資産計上している部分と、必要経費として処理している部分があるケース。この場合、一時所得の計算にあたっては、すでに事業所得の計算上必要経費に算入した部分については再度経費として控除できないため、積立保険料のみを控除することになります。
<情報提供:エヌピー通信社>