個人事業者の家事供用資産の消費税の取扱い
◇離婚の財産分与では分与側に課税
離婚の際の財産分与では、分与を受けた側には贈与税も所得税もかかりません。
それに対して、分与した側が居住不動産や有価証券などで分与義務を履行すると譲渡所得税の対象となります。
◇分与側への課税
財産分与と離婚慰謝料をあわせて5,000万円の支払いをするとして、これに充てるため取得費2000万円の不動産を5000万円で離婚相手に引き渡した人と、5,000万円を金銭で引き渡した人とは、同じ課税関係にはなりません。
不動産の売却には、確定申告での譲渡所得の申告が必要となります。法令の解釈にあたっては、財産分与は譲渡行為に含まれており、財産分与ということでの特別な規定はありません。
財産分与義務という債務の弁済のために、不動産を他に売却し、その取得した金銭を離婚相手に引き渡したと考えるとわかりやすいでしょう。
◇分与を受ける側の非課税
婚姻中の夫婦は共同して財産形成をしているので、財産が一方だけの名義の場合には、もう一方には、共有財産としての顕在的な持分は認められないものの、潜在的な持分があり、財産分与の場合にそれを清算する請求権として顕在化することになる、と解されています。
従って、財産分与請求権という債権の弁済として離婚相手から金銭や不動産その他の財産を受け取るということなので贈与にはなりません。
◇分与側の課税への注意点
自宅を売却した場合には3000万円の特別控除や軽減税率の適用がありますが、これは夫婦や直系血族等の間での取引では適用できません。
離婚にあたっての準備行為として早々に財産分与による名義変更をおこなったような場合には、特別控除が使えないなんてことも。要注意です。