【第3部】データで見るハラスメントによる損失~生産性低下・離職コストによる財務への影響~
はじめに
第3部では、雇用保険の適用拡大に伴う手続き負担の増加と労務管理のポイントについて解説しました。
第4部では、保険料や手続きが増えることを単なるコストアップと捉えるのではなく、短時間労働者を自社の「貴重な戦力」として育成・定着させ、人手不足を解消するための雇用戦略と助成金の活用法を解説します。
単なるコスト増にしないために
労働力不足が深刻化する中で、「週10時間なら働ける」というシニア、主婦・主夫、学生、副業人材は極めて貴重な労働力です。雇用保険を適用することは、働く側にとっても「万が一のセーフティーネットが得られる」「育休を取得しやすくなる」というメリットがあります。
企業側が「我が社は週10時間からでも安心して働ける環境を整えています」とアピールできれば、採用において他社との差異化につながります。受け身の対応ではなく、雇用環境の充実を打ち出すことで、質の高い人材を引き寄せることが可能になります。
助成金や教育訓練制度を活用したスキルアップ
短時間労働者の戦力化や生産性向上のためには、短時間でも効率よく業務をこなせるスキルの習得が欠かせません。そこで有効なのが、厚生労働省が提供する各種助成金制度です。
- 人材開発支援助成金:短時間労働者に対する研修や技能習得に対して経費や賃金の一部助成
- キャリアアップ助成金:短時間労働者の正社員化や賃金引き上げ、処遇改善した事業主を支援
これらの制度をうまく組み合わせることで、会社負担のコストを抑えつつ、従業員のエンゲージメント(貢献意欲)と定着率を高めることができます。
投資対効果(ROI)の高い人材戦略
受給した助成金を次の教育資金や設備投資に回すことで、キャッシュフローを維持しながら組織を強化できます。
助成金申請には適切な労務管理と就業規則の整備が条件となります。そのため、日頃から法令に沿った雇用契約や勤怠管理を行うことが必要です。
まとめ
【今回のポイント】
- 雇用保険適用を「安心して働ける職場として採用競争力を高めるきっかけ」と考えを転換する
- 人材開発支援助成金などを活用し、短時間労働者のスキルアップと定着化を図る
- 適切な労務管理をすることで、公的支援を活用によるキャッシュフロー軽減が可能になる
第5部では、2028年の施行に向けて今から取り組むべきロードマップと、自社の状況を確認できる「社内棚卸しチェックリスト」を解説します。
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