2025年4月施行の介護休業法の改正について
はじめに
第2部では、雇用保険の適用拡大が企業の財務に与える影響についてお伝えしました。
第3部では、実務手続きと労務管理の影響について解説します。
受給権の発生と入退社手続きの増加
雇用保険の対象者が広がることにより、これまで手続きが不要だった短時間パートタイマーに関しても、採用時の「資格取得届」や退職時の「資格喪失届・離職票」の作成が必要となります。財務的なインパクトより、この手続き増加の方が企業には大きなインパクトになります。
特にスキマバイトや入れ替わりの激しい短時間労働者を多く雇用している企業では、以下のような内容が懸念されます。
- 入退社手続きの件数が大幅に増える
- 離職票作成のための賃金支払実績の計算作業が増加する
- 短時間労働者であっても育児休業給付金の支給申請手続きが発生する
離職票の作成や育休給付の手続きは、正確な勤怠データと過去の賃金台帳に基づかなければならず、手作業での対応には限界があります。
雇用契約書と勤怠管理の厳格化
運用上は、「契約上は週8時間だが、繁忙期に少し残業して週11時間になった」というケースが想定されます。実態として雇用保険の対象になるのかどうかの判断が難しくなります。
厚生労働省のガイドラインでも、一時的な時間超過ではなく「反復・継続して週10時間以上となる見込み」がある場合は加入対象とされます。
そのため、契約書上の所定労働時間の明記だけでなく、日々の勤怠データをリアルタイムで把握できる体制の構築が不可欠です。
労務コストの増加と業務効率化
手続きの遅延や不備は、労働者とのトラブルに直結します。
特に離職票の発行遅れや育児休業給付金の申請漏れは、従業員の生活に影響を与えるため、不満やトラブルの原因となります。
また、こうした「可視化しにくい労務管理コスト」の増大は、企業の労働生産性を低下させます。紙ベースでの管理や手入力作業から脱却し、クラウド型労務管理システムの導入などを検討することが、中長期的なコストとリスクの削減につながります。
まとめ
【今回のポイント】
- 資格取得・喪失手続きや離職票作成の件数が増加し、人事労務事務に大きな影響
- 週10時間前後で動く労働者の実働時間を把握するため、勤怠管理の厳格化が必要となる
- 労務トラブルを防ぎ生産性を保つため、クラウドツール等の活用による業務効率化が急務
第4部では、この適用拡大を単なる「コスト増」や「手続き増」で終わらせず、短時間労働者を「貴重な戦力」へと変えるための人材開発と助成金活用について解説します。
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